aperirico
MOURNING「殺してほしい」
彼女は確かにそう言った。
俯いた顔からはどんな表情をしているのかさえ読み取れない。
しかし、その声色だけで彼女の気持ちが充分過ぎるほどに伝わった。
「何を…」
いつもなら冗談で笑い飛ばしたいところだが、そうもいかなかったのは、彼女が懐から何かを取り出したものを無言で突きつけられたからだ。
銃口ではなく、持ち手部分を。
「なんで今、こんなものを持っているんだ……」
嫌となるほど見覚えのあるそれは、間違いなく本物だった。
「貴方に終わらせてほしいのよ」
痺れを切らしたのか、俺の手を取って武器を握らせる。
悲しくなるほど冷たい、けれど優しい温もりの彼女自身の手で。
「処理に関しては心配しないで。この装置のボタンを押せば、虚空が出てくるわ。いつも使っているアレよ。暫くしたらもう1人の私がこっちに来て私を回収してくれる。」
2414彼女は確かにそう言った。
俯いた顔からはどんな表情をしているのかさえ読み取れない。
しかし、その声色だけで彼女の気持ちが充分過ぎるほどに伝わった。
「何を…」
いつもなら冗談で笑い飛ばしたいところだが、そうもいかなかったのは、彼女が懐から何かを取り出したものを無言で突きつけられたからだ。
銃口ではなく、持ち手部分を。
「なんで今、こんなものを持っているんだ……」
嫌となるほど見覚えのあるそれは、間違いなく本物だった。
「貴方に終わらせてほしいのよ」
痺れを切らしたのか、俺の手を取って武器を握らせる。
悲しくなるほど冷たい、けれど優しい温もりの彼女自身の手で。
「処理に関しては心配しないで。この装置のボタンを押せば、虚空が出てくるわ。いつも使っているアレよ。暫くしたらもう1人の私がこっちに来て私を回収してくれる。」