もえぎ
PROGRESS姉からみたレグリ5〜10歳くらいの二人です
喧嘩するほどの仲「グリーンのばか!」
かちゃん
思わず紅茶を置いて立ち上がった。衝撃を与えられた中身は波のように揺れている。
零れていないことを確認しつつ視線は既に二階の部屋を向いていた。
互いの怒号が奥から響き渡り、心臓が嫌な音を立てて足を促進させる。
外で遊ぶことが多いため普段の様子を詳しく知っているわけではないが、少なくとも部屋で遊ぶ時は大人しく手のかからないという点では模範的な子であるレッドくんが大きく声を荒らげたのだ。緊急事態だと姉の本能がブザーを鳴らす。
「どうしたの?」
バン!
勢いよく扉が開いたおかげで二人は私に注目している。顔を真っ赤にしたグリーンがレッドくんの上に乗り頬を引っ張っている。強く睨みつけているレッドくんの瞳からポロリと涙が一粒零れた。
1891かちゃん
思わず紅茶を置いて立ち上がった。衝撃を与えられた中身は波のように揺れている。
零れていないことを確認しつつ視線は既に二階の部屋を向いていた。
互いの怒号が奥から響き渡り、心臓が嫌な音を立てて足を促進させる。
外で遊ぶことが多いため普段の様子を詳しく知っているわけではないが、少なくとも部屋で遊ぶ時は大人しく手のかからないという点では模範的な子であるレッドくんが大きく声を荒らげたのだ。緊急事態だと姉の本能がブザーを鳴らす。
「どうしたの?」
バン!
勢いよく扉が開いたおかげで二人は私に注目している。顔を真っ赤にしたグリーンがレッドくんの上に乗り頬を引っ張っている。強く睨みつけているレッドくんの瞳からポロリと涙が一粒零れた。
kabeuchinaaan
PAST2022/8/27 チャレ!25 & 主ライwebオンリー『バトルしようぜ!』 無配、展示物オレはお前のこと嫌い お恥ずかしいことに、これにて片思い歴が二桁と相成りました。
沈んでいく太陽が水平線に足をつけて、立つ波に小刻みに断ち切られながらもオレンジ色の光で海に道を作っている。空には雲も風も少なく、海は穏やかなさざ波を鳴らす。そんな景色を、ビーチの砂を裸足で踏みしめながら静かに眺めているのは仲睦まじいカップルではなく、腐れ縁の男二人ぼっちだ。加えて言うのであればそのうちの片方はオレで、もう片方は先程自白したあれそれの相手である。
そんないかにもなシチュエーションに何の変哲もない成人男性二人で居合わせてしまった。ビジュアル的に華やかさの欠片もないであろう場面に胃もたれのような心地に陥っているオレの片思い歴は、もちろん月の数えではなく単位は年である。間違いなく誇れることではない。もっと言うなら片思いという甘酸っぱい表現に収めていいのかもわからない。酸いも甘いよりも負けん気や妬ましさが勝る自覚はあるのだが、それらを全部ひっくるめて長いこと一人相撲をしているのだから分類としては同じだろう。
3167沈んでいく太陽が水平線に足をつけて、立つ波に小刻みに断ち切られながらもオレンジ色の光で海に道を作っている。空には雲も風も少なく、海は穏やかなさざ波を鳴らす。そんな景色を、ビーチの砂を裸足で踏みしめながら静かに眺めているのは仲睦まじいカップルではなく、腐れ縁の男二人ぼっちだ。加えて言うのであればそのうちの片方はオレで、もう片方は先程自白したあれそれの相手である。
そんないかにもなシチュエーションに何の変哲もない成人男性二人で居合わせてしまった。ビジュアル的に華やかさの欠片もないであろう場面に胃もたれのような心地に陥っているオレの片思い歴は、もちろん月の数えではなく単位は年である。間違いなく誇れることではない。もっと言うなら片思いという甘酸っぱい表現に収めていいのかもわからない。酸いも甘いよりも負けん気や妬ましさが勝る自覚はあるのだが、それらを全部ひっくるめて長いこと一人相撲をしているのだから分類としては同じだろう。
kabeuchinaaan
MENUチャレ!&主ライwebオンリーのサンプルです!おいしいひととき【ミルクティー】
(なんか、帰りたい)
しとしとと、雨の音が微かに聞こえる薄暗い部屋で、レッドはふと思った。
◆
パラパラと雨が降る中、出来上がったばかりの水たまりの端を踏みながら走る。日が落ちてから肌寒くなったくらいだった気温が、雨が降ったことによりさらに下がった気がする。レインコートで雨をしのいでいるとはいえ、水がにじんだスニーカーのせいでつま先は感覚が鈍い気がするし、手先はかじかむほど冷えていた。
この地方に足を踏み入れてから、もう数週間経つ。最初に訪れた大きな街から始めて、各地の街を一月ほどかけてあらかた散策した。そろそろ街を出て山際の方へ足を伸ばしてみようと思った矢先の、この天気だった。街で覚えたてのこの辺り一帯の地図を懸命に思い出しながら、雨に降られるなんてついていない、と内心で愚痴る。
5163(なんか、帰りたい)
しとしとと、雨の音が微かに聞こえる薄暗い部屋で、レッドはふと思った。
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パラパラと雨が降る中、出来上がったばかりの水たまりの端を踏みながら走る。日が落ちてから肌寒くなったくらいだった気温が、雨が降ったことによりさらに下がった気がする。レインコートで雨をしのいでいるとはいえ、水がにじんだスニーカーのせいでつま先は感覚が鈍い気がするし、手先はかじかむほど冷えていた。
この地方に足を踏み入れてから、もう数週間経つ。最初に訪れた大きな街から始めて、各地の街を一月ほどかけてあらかた散策した。そろそろ街を出て山際の方へ足を伸ばしてみようと思った矢先の、この天気だった。街で覚えたてのこの辺り一帯の地図を懸命に思い出しながら、雨に降られるなんてついていない、と内心で愚痴る。