とこ*
PAST昨年12月の全国大会で頒布したコピー本に書き下ろしたお話です。イベント後にwebでアップしますとアナウンスさせていただいたものです。紙でお手に取って下さった方々ありがとうございました。
海堂・切原・財前・日吉
忍足(謙)・乾・柳
うっすら乾海・柳赤 どちらもカプ未満です。
Room205 後輩ばかり、という気安さもあるのだろう。この部屋にはやたらと来客が多い。切原、財前、日吉、そして俺、海堂薫。俺たち205号室の四人は、いまや廊下を歩く足音だけで誰が来たのか判別できるほどになっていた。
スタタタタッ、廊下のカーペットを軽やかに駆ける足音。忍者みてぇ、と切原が言うと、足音立てる忍者があるか、足軽だろうと日吉がツッコむ。足軽の正体は四天宝寺の忍足謙也さん。ていうか廊下を走るなちょっとは落ち着け先輩だろうが、と俺は口には出さないがいつも思う。
「財前~!!!!おるか~~~~⁉」
ドンドンドドドンッ!軽快な足音とは裏腹にノックはガサツの極み。返事も待たずにバァンッ!とドアを開ける。喧しい……。財前は二段ベッドの上段に寝転んで、スマホから顔も上げずに「おらんみたいですわ。出直した方がええですよ」と応えた。
11335スタタタタッ、廊下のカーペットを軽やかに駆ける足音。忍者みてぇ、と切原が言うと、足音立てる忍者があるか、足軽だろうと日吉がツッコむ。足軽の正体は四天宝寺の忍足謙也さん。ていうか廊下を走るなちょっとは落ち着け先輩だろうが、と俺は口には出さないがいつも思う。
「財前~!!!!おるか~~~~⁉」
ドンドンドドドンッ!軽快な足音とは裏腹にノックはガサツの極み。返事も待たずにバァンッ!とドアを開ける。喧しい……。財前は二段ベッドの上段に寝転んで、スマホから顔も上げずに「おらんみたいですわ。出直した方がええですよ」と応えた。
とこ*
DONE乾海?カプ未満私のデータによると目薬がさせない、もしくは苦手な男子は世の中に結構います(たぶん…)
俺と目薬と202号室 廊下に人けが無いのを確認してから、速やかに自室を出る。202号室の前に素早く到達し、ドアを控え目にトン、トン、と叩いた。
「どうぞ」
中から聞きなれた声が静かに応えてくれて、俺はドアを開け、顔だけ覗かせ室内を伺った。
「ん、海堂か。どうした」
部屋の中には乾先輩がひとり。勉強机の前に座って、こちらを振り向き穏やかに微笑む。ちょっとホっとしつつ、中に滑り込んでドアを閉める。
「……ほかの、先輩方は……」
「ああ、千歳はいつもの徘徊、観月は徘徊する千歳を探しに出かけたよ」
「柳さんは……?」
「何でも切原がドングリを拾いに行ったまま戻ってこないらしくてな、探しに出かけたよ」
「みんな、誰かを探して……」
「そうだな、人は皆、誰かを探して生きているのかもしれないな……」
4740「どうぞ」
中から聞きなれた声が静かに応えてくれて、俺はドアを開け、顔だけ覗かせ室内を伺った。
「ん、海堂か。どうした」
部屋の中には乾先輩がひとり。勉強机の前に座って、こちらを振り向き穏やかに微笑む。ちょっとホっとしつつ、中に滑り込んでドアを閉める。
「……ほかの、先輩方は……」
「ああ、千歳はいつもの徘徊、観月は徘徊する千歳を探しに出かけたよ」
「柳さんは……?」
「何でも切原がドングリを拾いに行ったまま戻ってこないらしくてな、探しに出かけたよ」
「みんな、誰かを探して……」
「そうだな、人は皆、誰かを探して生きているのかもしれないな……」