Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    かがり

    MOURNINGネタとして「秘する〜」に吸収されちゃったけど、単話として書いてた時のオチ部分がわりと気に入ってたので供養。
    時系列はズ!!軸なこと以外ではわやわやしてる。

    同室メンバーの関係性が詳しく分かる前とかに書いてた気がする。
    本当にズ!の月永レオくんが逆先夏目くんに向けていた若干キツめのあの感じなんだったんだろうな……とあれはあれとして新鮮で良かったな……のフュージョンです。
    赤い頭ふたつ:司レオ?「スオ、」

     姿を見かけた後輩に声を掛けようとして、喉に音が引っかかる。何故かと言えば、よくよく見ると鮮烈な赤が、同じくらいの高さに2つ並んでいたから。
     どうにも最近、ESビル内でもそんな光景をよく見かける気がする。同じ事務所に所属するユニットリーダー同士、仲が良いのは何らおかしくはない。そう、思うのだけれど。

    「やぁ、騎士さま。どっちに声を掛けるべきか迷っちゃったのかナ?」

     最初から気がついていた、とばかりに向かって右側の赤が振り向いた。「レオさん?」と一拍遅れて振り向いたのは左側の赤だ。

     煽るように言う向かって右側のそいつは、同じ事務所であるところのニューディメンション所属、Switchのリーダー、逆先夏目。夢ノ咲学院の抗争期に出会ったことも影響してか、あまり互いの心象は良くない。
    2054

    かがり

    DONEぷらいべったー引っ越し(2021.11.27)
    第1回Webオンリーで展示していた、花を贈る司くんの話です。

    (2023.6.25再録発行に伴い微修正)
    左の胸に咲く花:司レオ 鮮やかな蘇芳色をなびかせる彼は、どうしても「それ」と対称的だと思った。





    「レオさん、どうぞ」
     落ち着いた声と共に差し出されたのは、透明な包装と控えめなリボンに彩られた一輪の薔薇。
     歳下のその男は、両手で丁重に支えるそれを、相も変わらずそっと手渡す。
     平日のアンサンブルスクエアでは、せかせかと動き回る人の流れが尽きることはない。それでも、レッスン室が立ち並ぶこの廊下は、時間が早いせいなのか、ひっそりとした静寂に包まれている。
     何気なく呼び止められたかと思えば、スマートな所作で渡されたそれを、受け取らない理由がレオには無かった。
     包装のフィルムから覗き込んだその花弁は、一枚一枚がどれも瑞々しく美しい。司のことだから、きっと相応にきちんとした店舗で購入した生花に違いない。「ありがとな!」と微笑みながら、レオはいつも、少しだけ不思議に思っている。何故なら、差し出されるその薔薇はいつだって、彼の燃えるような情熱とは相対するような、深く静かな青色をしていたから。
    7323