nevergivedog
DONE幸真です。「チューリップ」「木蓮」「相思相愛」というお題を出してもらって書きました。
喧嘩したり拗ねたり偉そうにしてみたりしてほしい。
友よ「今年も蝋梅が良い匂いだったね」
学校からの帰り路だった。なんということもない様子で幼馴染はそう言うが、園芸を趣味にするだけあって植物に詳しい幸村と違って、俺は梅と桃と桜の見分けもつかないので同意を求められたところで答えようがない。
「ばい、と言うくらいだから梅の仲間なのか」
「いや、別の種類だよ。花の時期はだいたい同じだけど」
「ややこしいな」
「それにしても、見たことないなんてもったいないなあ」
ふっくらと開く卵色の花ところころした丸いつぼみが愛らしく、香りは甘やかでありながら優しいのだと幸村は歌うように続けた。
「駅からお前の家までの道にも立派なのが植ってるのに」
「そんなことを言われても知らんものには気づきようもない」
1672学校からの帰り路だった。なんということもない様子で幼馴染はそう言うが、園芸を趣味にするだけあって植物に詳しい幸村と違って、俺は梅と桃と桜の見分けもつかないので同意を求められたところで答えようがない。
「ばい、と言うくらいだから梅の仲間なのか」
「いや、別の種類だよ。花の時期はだいたい同じだけど」
「ややこしいな」
「それにしても、見たことないなんてもったいないなあ」
ふっくらと開く卵色の花ところころした丸いつぼみが愛らしく、香りは甘やかでありながら優しいのだと幸村は歌うように続けた。
「駅からお前の家までの道にも立派なのが植ってるのに」
「そんなことを言われても知らんものには気づきようもない」
_yoi_sho
INFO2024年3月17日(日)HARU COMIC CITY 32
第24回全国大会GS
幸真でサークル参加します。
同棲している社会人の幸真がペットプレイする成人向けの本を頒布予定です。
よろしくお願いします!
囚われRabbits
TRAINING2号の中ではそれぞれに対して「三途の川」をテーマに色々と解釈があるのですが、幸真には生前に是非この話をして欲しいという願望がある。珍しく幸真です。
背負わずに抱えていて夏、蝉の声がジンジンと耳に木霊する。汗で張り付く布と肌、照らしつける鋭い太陽の光。身を焦がす、灼熱の地獄――。ラケットがブンブンと唸り、タンタンタンとテニスボールが跳ねる音がする、蝉が懸命に恋焦がれる叫び声を上げる中で、いつもの怒声が飛び交う音は親しみ慣れた日常だった、すくなくともあの日迄は。涼しい部屋、微かに聴こえる蝉の声だけが静寂を凌いでくれる。夕刻の音が響くまで幸村精市の夏は来ない。
ガラガラと病室の扉が開いて、真田弦一郎がそこには立っていた。幸村にとっての旧知の仲……幼なじみであり、同じ志を持ち、そして常に共にあった相手であり、幸村の想い人。約束した未来は、今は未だ果たせないけど……果たすことも難しいのかも知れないけど。他の誰かには見せられない弱気な心は、真田にだけは晒すことが出来る。
2059ガラガラと病室の扉が開いて、真田弦一郎がそこには立っていた。幸村にとっての旧知の仲……幼なじみであり、同じ志を持ち、そして常に共にあった相手であり、幸村の想い人。約束した未来は、今は未だ果たせないけど……果たすことも難しいのかも知れないけど。他の誰かには見せられない弱気な心は、真田にだけは晒すことが出来る。