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    #森ぐだ

    treeFern

    monamonado

    REHABILI森ぐだ♂怪文書①愛すべき立方体

    三日三晩。これは単純な時間経過を示したものではない。森長可がシミュレーター内で人間無骨を振るい続けた時間そのものである。

    長可の現在の主はとにかくよく眠る「性質」であった。その性質は時と場所を問わず、とにかくなにかにつけ、ことりと意識がなくなった。こうなっては揺り動かそうが頬を張ろうがぴくりともしなくなる。そう聞けばまるで死んでいるようだが、これですうすう、と呑気そうな寝息を立てているのだから拍子抜けするのだ。長可との会話の途中でばたんと後ろに倒れたのを肩に担いで部屋まで運んだが、例のごとくまるで起きない。ぱっちりと閉じたまぶたを縁取る上向きのまつげの数を数えるでもなくぼうっと見たところで起きてくるわけでもなし、と長可が踵を返そうとするとばたばたとあわただしく数名が部屋に駆け込んできた。一人はダヴィンチとかいう小さい娘だ。小さいが頭はよく切れる。何やら難しく眉を寄せて口を開いた。

    「藤丸くんの自我がシミュレーターに取り込まれたまま帰ってこないんだ」

    話をまとめるとこうだ。
    シミュレーターは「何か」をきっかけに試行実験を始めた。藤丸立香の今までの旅路のより短時間か 4389