戸森鈴子☆とらんぽりんまる
DOODLEとあるカップル人間JK×悪魔王子「私もピアス開けようかな?」
「ちょっと痛いかもしれないよ」
「じゃあどうしてしてるの?」
「いい事があったら、僕はしてるんだ」
「どういう意味?」
「君との思い出、忘れないようにね」
「えっ……」
「ドン引きするでしょ、あはは」
「しないよ……うれしい」
「そう?」
「ここは……?」
「付き合った時……」
「うれしい」
イチャイチャイチャイチャ
戸森鈴子☆とらんぽりんまる
DOODLEとあるカップル(坊ちゃんとメイドさん「坊ちゃまの髪はサラサラですね」
「俺なんかより、メイドさんの方が綺麗だ」
「まぁ……そんな」
完璧な二人の世界
実際は名前呼び
書き貯めしたら公開予定の和風ファンタジー小説のキャラ二人 3
小さな葉っぱ
REHABILIワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
少しでも癒せたら夜遅く。今日もボロボロになるまでトレーニングをしていた彼。秘密の特訓場で大の字になり、地面の上で意識を手放している。
その頭をそっと両手でもたげて太ももの上に乗せ、地へ座る。
ゆっくりゆっくりと頭部を撫でながら、回復の魔法を掛けて行く。天使の羽根でくすぐるような手付き。
無理は出来るだけして欲しくはない。けれど――。
「貴方のそういうところが好きです」
聞こえて欲しいような、欲しくないような。そんな声量の囁きの後、上半身を折り、口吻による一瞬だけの口付けを交わす。
土まみれの中からでも、彼のバラの香水が標のように鼻を通り抜けて行った。
(おわり)
278その頭をそっと両手でもたげて太ももの上に乗せ、地へ座る。
ゆっくりゆっくりと頭部を撫でながら、回復の魔法を掛けて行く。天使の羽根でくすぐるような手付き。
無理は出来るだけして欲しくはない。けれど――。
「貴方のそういうところが好きです」
聞こえて欲しいような、欲しくないような。そんな声量の囁きの後、上半身を折り、口吻による一瞬だけの口付けを交わす。
土まみれの中からでも、彼のバラの香水が標のように鼻を通り抜けて行った。
(おわり)
小さな葉っぱ
REHABILISB69よりシュウマカ(シュウピグ)。ツイッターに投稿した画像小説と同じものです。
満たして満たされるドーリィドルチのライブに行列店のスイーツが差し入れられた。しかし、一体誰の、何処からの差し入れなのか分からないという。
「めちゃめちゃ怪しいでちゅ」
「はーい、じゃあミーが毒味してあげまーす!」
「食べたいだけでちゅよね?」
冷たいツッコミを無視してスイーツを頬張るピグマカロンのキラキラした笑顔に、チョキュルイユはやれやれと溜め息を吐いた。
リムジンの中。
「シュウ☆ゾーくん、なんだか今日は嬉しそうですね」
「差し入れがちゃんと届いたかなと思ってね。笑顔で美味しそうに食べる、彼女のそういうところが好きなんだぁ☆」
窓の外。ビルとビルのあいだから顔を覗かせた満月に、彼女の笑顔を浮かべた。
(おわり)
305「めちゃめちゃ怪しいでちゅ」
「はーい、じゃあミーが毒味してあげまーす!」
「食べたいだけでちゅよね?」
冷たいツッコミを無視してスイーツを頬張るピグマカロンのキラキラした笑顔に、チョキュルイユはやれやれと溜め息を吐いた。
リムジンの中。
「シュウ☆ゾーくん、なんだか今日は嬉しそうですね」
「差し入れがちゃんと届いたかなと思ってね。笑顔で美味しそうに食べる、彼女のそういうところが好きなんだぁ☆」
窓の外。ビルとビルのあいだから顔を覗かせた満月に、彼女の笑顔を浮かべた。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。クリスマスSSです。
ツイッターに投稿した画像小説と同じものです。
地上の銀河無数の小粒の電球で煌めく夜の街。
この横断歩道を渡ればクリスマスデートの始まり。
彼女の手の甲が自分の手の甲に触れる。
お互い同時に顔を見ると、彼女は地上の銀河の中で美しく微笑んだ。直後に自分も同じ顔をすると、その拍子に口から出た二人のもやりとした白い息が、空中で一つになる。
ゼロ距離にある彼女の手を捕まえて、彼らは聖夜に彩られた光の街へ進んで行った。
(おわり)
185この横断歩道を渡ればクリスマスデートの始まり。
彼女の手の甲が自分の手の甲に触れる。
お互い同時に顔を見ると、彼女は地上の銀河の中で美しく微笑んだ。直後に自分も同じ顔をすると、その拍子に口から出た二人のもやりとした白い息が、空中で一つになる。
ゼロ距離にある彼女の手を捕まえて、彼らは聖夜に彩られた光の街へ進んで行った。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりクロシア。クリスマスSSです。
ツイッターに投稿した画像小説と同じものです。
聖夜に咲く「堕天使なのに、クリスマスをお祝いするにゃ?」
BRRのメンバー総出で商店街のクリスマスイベントの手伝いをしていると、サンタガールの格好をした彼女が不思議そうに尋ねて来た。
「へっ、オレ様は寛大な堕天使だからな! 御子って奴も祝ってやんだよ」
「やったにゃー、一緒にイチゴのケーキ食べれるにゃん!」
彼女にとっての聖夜の宝物はイチゴのケーキのようだが、自分にとっては夜の街に咲いた彼女の笑顔こそが宝物だった。
(おわり)
213BRRのメンバー総出で商店街のクリスマスイベントの手伝いをしていると、サンタガールの格好をした彼女が不思議そうに尋ねて来た。
「へっ、オレ様は寛大な堕天使だからな! 御子って奴も祝ってやんだよ」
「やったにゃー、一緒にイチゴのケーキ食べれるにゃん!」
彼女にとっての聖夜の宝物はイチゴのケーキのようだが、自分にとっては夜の街に咲いた彼女の笑顔こそが宝物だった。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
星座占い『今週はさそり座の方と相性が良いでしょう』
巻末の星座占いにそう書かれた無料の情報誌をゴミ箱へ放る。
しかし、ゴミ箱から生えたそのフリーペーパーを複雑そうに見つめた後、拾い上げて開いた。
あの人の星座は――。
確かめようとして結局やめた。第三者が決めた星の運命なんて信じたりしない。
信じたり、しない……。
(おわり)
161巻末の星座占いにそう書かれた無料の情報誌をゴミ箱へ放る。
しかし、ゴミ箱から生えたそのフリーペーパーを複雑そうに見つめた後、拾い上げて開いた。
あの人の星座は――。
確かめようとして結局やめた。第三者が決めた星の運命なんて信じたりしない。
信じたり、しない……。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
地上の綺羅星クリスマスがまもなくの街中。星の光が間近にあるようなイルミネーションが、彼女越しに映る。
この時季にしか見られない一般的な厚着の彼女。レザーの手袋ごと手を引いて長い腕の中に閉じ込める。
その僅かな衝撃で吐き出されたお互いの白い息が、夜にくっきり映えて宙を渡って行く。
この光の中、攫っても良い? 心の中でそんなキザったらしい事を問い掛けていた。
(おわり)
180この時季にしか見られない一般的な厚着の彼女。レザーの手袋ごと手を引いて長い腕の中に閉じ込める。
その僅かな衝撃で吐き出されたお互いの白い息が、夜にくっきり映えて宙を渡って行く。
この光の中、攫っても良い? 心の中でそんなキザったらしい事を問い掛けていた。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。診断メーカーでお題を頂きました。
【勝手に十日間チャレンジ(勝手に十日間作品を投稿する試み)】
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
【140文字SSのお題】
貴方はワルロゼで『グラスにうつった真実』をお題にして140文字SSを書いてください。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/587150
勝手に十日間チャレンジ:六日目(ワルロゼ)もう何杯目かも分からないワインをあおる。
昼間っから飲んでいないと、気づいてしまったこの気持ちを振り払えない。いや、飲んでいても退けられてはいないが。
愛してしまったのは高嶺の花ならぬ高嶺の星。
自分のものになる訳がない。その事実が痛過ぎてワインを流す喉に染みる。
どんなにこの想いを遠ざけようとしても、グラスには彼女を欲しがる瞳がはっきりと写し出されていた。
(おわり)
188昼間っから飲んでいないと、気づいてしまったこの気持ちを振り払えない。いや、飲んでいても退けられてはいないが。
愛してしまったのは高嶺の花ならぬ高嶺の星。
自分のものになる訳がない。その事実が痛過ぎてワインを流す喉に染みる。
どんなにこの想いを遠ざけようとしても、グラスには彼女を欲しがる瞳がはっきりと写し出されていた。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGSB69よりヤイレト。診断メーカーでお題を頂きました。
【勝手に十日間チャレンジ(勝手に十日間作品を投稿する試み)】
ツイッターに投稿した画像小説と同じものです。
【○○を使わない140字小説お題】
小さな葉っぱさんは「保存」をテーマに(しかしその語を使わずに)140字SSを書いてみましょう
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/430183
勝手に十日間チャレンジ:六日目(しょばろ)目立つ事を嫌う彼女は写真を撮られるのもあまり好きではない。
でもある晩秋にマフラーを共に買った時『巻くから、撮ってよ』と素っ気なくスマホを渡して来た。後で写真を送って欲しいと言うと意外にも素直に頷いてくれた。
やや恥ずかしそうに口元までマフラーに顔を埋めた上目遣いなカメラ目線は、可愛らしい。
『お洒落なんて分からない君が、一生懸命選んでくれたから』
写真を撮ってくれなんて珍しいと言及すると、彼女はもじもじと顔を背けながらそう口にしていた。
このデータはずっとメモリに焼き付け続ける。
(おわり)
251でもある晩秋にマフラーを共に買った時『巻くから、撮ってよ』と素っ気なくスマホを渡して来た。後で写真を送って欲しいと言うと意外にも素直に頷いてくれた。
やや恥ずかしそうに口元までマフラーに顔を埋めた上目遣いなカメラ目線は、可愛らしい。
『お洒落なんて分からない君が、一生懸命選んでくれたから』
写真を撮ってくれなんて珍しいと言及すると、彼女はもじもじと顔を背けながらそう口にしていた。
このデータはずっとメモリに焼き付け続ける。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。【勝手に十日間チャレンジ(勝手に十日間作品を投稿する試み)】
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
↓頂いたお題
【140文字でお題ったー】
ワルロゼへのお題は『全力疾走』です。140文字SSを書いてみましょう。
#140文字でお題ったー #shindanmaker
https://shindanmaker.com/1017946
勝手に十日間チャレンジ:五日目(ワルロゼ)普段は魔法で浮いて移動している。しかし彼に会いに行く時は自分の足で走って行きたい。
ドレスを少したくし上げて疾走し、彼の元まで辿り着く。
「あぶな!」
胸に飛び込むすんでのところでヒールを吐いた足がバランスを崩す。細くも自分をしっかりと受け止めてくれる腕。
心配そうに眉を吊り下げた顔が自分を覗き込む。
それが可愛らしいと思え、走って来た勢いのまま愛しい唇に食らい付いた。
(おわり)
194ドレスを少したくし上げて疾走し、彼の元まで辿り着く。
「あぶな!」
胸に飛び込むすんでのところでヒールを吐いた足がバランスを崩す。細くも自分をしっかりと受け止めてくれる腕。
心配そうに眉を吊り下げた顔が自分を覗き込む。
それが可愛らしいと思え、走って来た勢いのまま愛しい唇に食らい付いた。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。【勝手に十日間チャレンジ(勝手に十日間作品を投稿する試み)】
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
勝手に十日間チャレンジ:二日目(ワルロゼ)この時季の母親の手は荒れやすいから。そんな理由で購入した赤切れや手荒れにも効くハンドクリーム。
彼女と出会った事で趣味となった星見の途中で、そのケースを握り締める。
明日はカートのツアーで顔を合わせる事になっていた。
こんなちっぽけなプレゼント、喜ばれるかは分からないが。
誰かの役に立ちたいなんて、これまで抱いた事のない感情だった。彼女は経験した事のないさまざまな思いを呼び起こしてくれる。
寒い夜。彼の小さく温かい欲望を乗せて、今日も星は巡る。
(おわり)
232彼女と出会った事で趣味となった星見の途中で、そのケースを握り締める。
明日はカートのツアーで顔を合わせる事になっていた。
こんなちっぽけなプレゼント、喜ばれるかは分からないが。
誰かの役に立ちたいなんて、これまで抱いた事のない感情だった。彼女は経験した事のないさまざまな思いを呼び起こしてくれる。
寒い夜。彼の小さく温かい欲望を乗せて、今日も星は巡る。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGSB69よりアイチュチュ。【勝手に十日間チャレンジ(勝手に十日間作品を投稿する試み)】
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
勝手に十日間チャレンジ:二日目(しょばろ)「チュチュが練習時間に遅れて来るなんて珍しいにゃ」
「ごめんなさい。アラームの時間を間違えていた上に、人に道案内をしていまして」
その人は子猫のように怯えていた。どうしても放ってはおけず、声を掛けたのである。
人と接する事が極端に苦手そうだった。しかし別れ際に一生懸命お礼の言葉を絞り出していた彼は、きっと悪い人ではないのだろう。
(おわり)
174「ごめんなさい。アラームの時間を間違えていた上に、人に道案内をしていまして」
その人は子猫のように怯えていた。どうしても放ってはおけず、声を掛けたのである。
人と接する事が極端に苦手そうだった。しかし別れ際に一生懸命お礼の言葉を絞り出していた彼は、きっと悪い人ではないのだろう。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。【勝手に十日間チャレンジ:勝手に十日間作品を投稿する試み】
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
勝手に十日間チャレンジ:一日目(ワルロゼ)ある日のカートツアーで顔を合わせた彼女はいつもと違う容姿だった。サンタガールを彷彿とさせる真紅のドレスを身にまとい、髪はポニーテール。
レース前に『良い走りをしましょう』と、にこやかに声を掛けられる。
髪をアップにしている事で、デコルテがいつもよりくっきり目に映えていた。肩出しのドレスはその美しさを容赦なく見せつけて来る。視線が吸い寄せられてしまう。
「ま、まあよろしくな」
クールな態度を装いながら、早急に彼女の横を通って立ち去った。あのまま見惚れていたらうっかり触れてしまいそうだ。絶対通報される。
彼女のこの姿はご褒美でありながら心臓に悪い。
(おわり)
283レース前に『良い走りをしましょう』と、にこやかに声を掛けられる。
髪をアップにしている事で、デコルテがいつもよりくっきり目に映えていた。肩出しのドレスはその美しさを容赦なく見せつけて来る。視線が吸い寄せられてしまう。
「ま、まあよろしくな」
クールな態度を装いながら、早急に彼女の横を通って立ち去った。あのまま見惚れていたらうっかり触れてしまいそうだ。絶対通報される。
彼女のこの姿はご褒美でありながら心臓に悪い。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGSB69よりキンコリ。【勝手に十日間チャレンジ(勝手に十日間作品を投稿する試み)】
ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
勝手に十日間チャレンジ:一日目(しょばろ)メンバーへの差し入れにと美味しすぎる水の直売店へ入る。
今日はいつかのライブで出会ったあの子がレジを担当していた。
「今日も来てくれたんですねー! メンバーさんへの差し入れですか?」
「ああ。ところで――」
物珍しそうに彼女を眺める彼。
「いつもの格好じゃないんだな」
彼女の服装は暖かそうな水色のセーターにパンツスタイル。
「さすがに晩秋から冬はスク水はお休みですよ」
「冬服も似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます」
なんだか微妙に焦っているような。自分は思った事をただ口にしただけなのだが。
「またのお越しをお待ちしております!」
エコバッグに入れて貰った水を受け取る。
彼女のその挨拶が、何故だか太陽に煌めく水飛沫のように光っていたのは気のせいだろうか。
341今日はいつかのライブで出会ったあの子がレジを担当していた。
「今日も来てくれたんですねー! メンバーさんへの差し入れですか?」
「ああ。ところで――」
物珍しそうに彼女を眺める彼。
「いつもの格好じゃないんだな」
彼女の服装は暖かそうな水色のセーターにパンツスタイル。
「さすがに晩秋から冬はスク水はお休みですよ」
「冬服も似合ってるよ」
「あ、ありがとうございます」
なんだか微妙に焦っているような。自分は思った事をただ口にしただけなのだが。
「またのお越しをお待ちしております!」
エコバッグに入れて貰った水を受け取る。
彼女のその挨拶が、何故だか太陽に煌めく水飛沫のように光っていたのは気のせいだろうか。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。お題を頂きました。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものになります。
頂いたお題:素敵ね、と君は笑った
お題配布元:夢見月*
バラ柄のハンカチ「こちら、落としていらっしゃいましたよ」
カート大会の自分の選手控え室を彼女が訪れた。
綺麗に指が揃えられた手で、ラベンダーカラーの生地にバラ柄のハンカチが差し出される。
「ピーチさんに落とし主に心当たりがおありかと尋ねたら、こちらだとおうかがいしたので」
こんな粗野な男がクラシック感のあるバラ柄のハンカチを持っているなんて、裏で嗤われるかもな。そんな捻くれた思考に至る。
「素敵ですね」
受け取ったままなにも言えないでいると、彼女が和やかに笑った。
きっと褒めた対象はこのハンカチの柄だ。何処かでそう言い訳を零す。
しかし別の何処かではおかしな期待をしながら、穏やかに弧を描く唇と三日月のように細くなる目に見惚れていた。
320カート大会の自分の選手控え室を彼女が訪れた。
綺麗に指が揃えられた手で、ラベンダーカラーの生地にバラ柄のハンカチが差し出される。
「ピーチさんに落とし主に心当たりがおありかと尋ねたら、こちらだとおうかがいしたので」
こんな粗野な男がクラシック感のあるバラ柄のハンカチを持っているなんて、裏で嗤われるかもな。そんな捻くれた思考に至る。
「素敵ですね」
受け取ったままなにも言えないでいると、彼女が和やかに笑った。
きっと褒めた対象はこのハンカチの柄だ。何処かでそう言い訳を零す。
しかし別の何処かではおかしな期待をしながら、穏やかに弧を描く唇と三日月のように細くなる目に見惚れていた。
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりヤスほわ。お題を頂きました。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
頂いたお題:言葉にも不自由する関係
お題配布元:夢見月*
不足したコトバ元々おしゃべりというものは得意ではない。特に彼女の前ではコトバというものを出す事が苦手になってしまう。
心臓がバクバクとうるさくなって、妙に体が熱くなって、変に焦る。
「あ、こんにちはヤスくん」
弁当配達の帰りに彼女とばったり出会う。
「……うっす」
桃色がかった白い髪が真昼の陽光で眩しく見え、やはりどぎまぎと胸を鳴らしてしまった。淡白な挨拶しか出来ない自分が恨めしい。
彼女と打ち解けられる“魔法のアイコトバ”はないかと、今日も好きという感情の中を溺れながら探している。
(おわり)
245心臓がバクバクとうるさくなって、妙に体が熱くなって、変に焦る。
「あ、こんにちはヤスくん」
弁当配達の帰りに彼女とばったり出会う。
「……うっす」
桃色がかった白い髪が真昼の陽光で眩しく見え、やはりどぎまぎと胸を鳴らしてしまった。淡白な挨拶しか出来ない自分が恨めしい。
彼女と打ち解けられる“魔法のアイコトバ”はないかと、今日も好きという感情の中を溺れながら探している。
(おわり)
小さな葉っぱ
1111ワルロゼ作品。ポッキー&プリッツの日作品。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
ポッキー&プリッツの日連日続いているカート大会。
今日の第一レースが行われるサーキットの控え室は、何室かの大部屋へ分かれる形だった。
相棒のワリオと運悪く離れてしまった彼は、パイプ椅子に長い足を組んで行儀悪く座りながら、持参した棒状のチョコ菓子を食べている。
タメ口をきける仲といえど、王族も居る控え室でタバコを吸う訳にも行かない。口寂しさを紛らわせるにはちょうど良かった。
その時、ふと気配を感じて横を見る。少し離れた場所から、こちらの手元を物欲しそうに眺める星型の幼子が一人。確かチコとかいったか。
その保護者である碧色の星姫は、現在席を外しているようだ。
――このまま凝視されるのも癪だ。
そう思った彼は、菓子を一本抜き出し、星の子に手を伸ばす。
783今日の第一レースが行われるサーキットの控え室は、何室かの大部屋へ分かれる形だった。
相棒のワリオと運悪く離れてしまった彼は、パイプ椅子に長い足を組んで行儀悪く座りながら、持参した棒状のチョコ菓子を食べている。
タメ口をきける仲といえど、王族も居る控え室でタバコを吸う訳にも行かない。口寂しさを紛らわせるにはちょうど良かった。
その時、ふと気配を感じて横を見る。少し離れた場所から、こちらの手元を物欲しそうに眺める星型の幼子が一人。確かチコとかいったか。
その保護者である碧色の星姫は、現在席を外しているようだ。
――このまま凝視されるのも癪だ。
そう思った彼は、菓子を一本抜き出し、星の子に手を伸ばす。
小さな葉っぱ
DONEワルロゼ作品より、小説ハイライト。元作品はpixivとソナーズにあります。
背景画像はpexelsよりお借りしました。
https://www.pexels.com/ja-jp/photo/4922083/
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。お題を頂きました。
ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
頂いたお題:身分とか血筋とか、そんなのがどうでもよくなっちゃうくらい、私は貴方に夢中なの
お題配布元:夢見月*
最後の距離彼女たちの関係は、告白をしていないだけで恋人のように近しい。
しかし結局“恋人のよう”は“恋人のよう”な間柄でしかない。
手も繋がない、抱き締め合わない、キスだってしない。
彼は、自分たちの隙間に存在する身分や立場を、とても大きなものとして捉えている。
彼女とて、多くの子供たちを蔑ろには出来ない身なのは確かだ。しかし彼と恋仲となる上で、それを気にした事はない。
彼の庭に作られたベンチへ二人で座り、星月夜を見上げる。
『私の事、好きですか?』
あえて軽い調子で訊いてみる。今日もはぐらかせてしまった。
だが今日は諦めない。痩せこけた顔を玉肌の両手で挟み、ぐっとこちらを向かせる。
「身分と私、どちらが大切なのです?」
もう逃れられないこの質問で、最後の距離を埋めて欲しかった。
348しかし結局“恋人のよう”は“恋人のよう”な間柄でしかない。
手も繋がない、抱き締め合わない、キスだってしない。
彼は、自分たちの隙間に存在する身分や立場を、とても大きなものとして捉えている。
彼女とて、多くの子供たちを蔑ろには出来ない身なのは確かだ。しかし彼と恋仲となる上で、それを気にした事はない。
彼の庭に作られたベンチへ二人で座り、星月夜を見上げる。
『私の事、好きですか?』
あえて軽い調子で訊いてみる。今日もはぐらかせてしまった。
だが今日は諦めない。痩せこけた顔を玉肌の両手で挟み、ぐっとこちらを向かせる。
「身分と私、どちらが大切なのです?」
もう逃れられないこの質問で、最後の距離を埋めて欲しかった。
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりクロシア&ヤスほわ。ハロウィン小ネタです。
ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
恋色ハロウィン・クロシア
「にゃにゃーん! 化け猫参上にゃ! あれ、クロウちゃん、なんでこっち見てくれないにゃん?」
背かれた顔の方へタタッと移動すると、またそっぽを向かれた。
「ちょっとクロウちゃん!」
何度かそうする内に、痺れを切らしたシアンは怒気を滲ませて名前を呼ぶ。
「だー、もう! 可愛過ぎて直視出来ねえんだよ! バカヤロ!」
「にゃ!?」
お互い気まずく俯く。照れ臭そうにうねうねと落ち着かないクロウとシアンの尻尾。
「あ、ありがとにゃん……」
「お、おう……」
――百秒後にケータイでめっちゃ撮影会するカップル――
・ヤスほわ
「ヤスくん! トリックオアトリートだよー、がおー!」
「のわ!?」
肉球付き手袋で覆われた両手を構えるほわんに、飛び退くほど驚くヤス。
456「にゃにゃーん! 化け猫参上にゃ! あれ、クロウちゃん、なんでこっち見てくれないにゃん?」
背かれた顔の方へタタッと移動すると、またそっぽを向かれた。
「ちょっとクロウちゃん!」
何度かそうする内に、痺れを切らしたシアンは怒気を滲ませて名前を呼ぶ。
「だー、もう! 可愛過ぎて直視出来ねえんだよ! バカヤロ!」
「にゃ!?」
お互い気まずく俯く。照れ臭そうにうねうねと落ち着かないクロウとシアンの尻尾。
「あ、ありがとにゃん……」
「お、おう……」
――百秒後にケータイでめっちゃ撮影会するカップル――
・ヤスほわ
「ヤスくん! トリックオアトリートだよー、がおー!」
「のわ!?」
肉球付き手袋で覆われた両手を構えるほわんに、飛び退くほど驚くヤス。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ハロウィン小ネタです。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
紅い雫を啜って(ハロウィン)魔女の口端へ紅い雫が筋を作って垂れる。頬張った柔らかい一口チョコの中身が、たっぷりのイチゴソースだったからだ。
とっさに受け皿を作ろうと動かされた魔女の手を、手首を掴んで抑える吸血鬼。
疑問に思われて睨まれるより早く、その紅い雫へ唇を寄せてチュッと啜った。
そのまま口の位置を移動させ、接吻を交わす。
このキスは血より濃く、イチゴより甘い。
(おわり)
178とっさに受け皿を作ろうと動かされた魔女の手を、手首を掴んで抑える吸血鬼。
疑問に思われて睨まれるより早く、その紅い雫へ唇を寄せてチュッと啜った。
そのまま口の位置を移動させ、接吻を交わす。
このキスは血より濃く、イチゴより甘い。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりヤスほわ。ツイッターに画像小説で投稿したものと同じです。
キミの名前『ヤスくん!』『ヤスくん?』『ほわあ、ヤスくんってすごい!』
あの子は多彩な感情を乗せて自分の名をよく呼んでくれる。呼ばれる度に、総てに赦しを与えそうな柔らかく優しい彼女の歌声を独り占め出来ている気がして、胸が熱くなった。
彼らの間に存在する関係性は“同じスタジオを利用するただの音楽仲間”という、至極シンプルなものだ。
たまに互いのライブを見学に行くくらいのなんでもない仲間。ただ一つ違うのは、自分があの子にどうしようもなく惹かれている事。
自然と癒されてしまう歌声、柔和な人柄に見えて遠方の故郷から此処まで一人旅して来た度胸、周りの空気を自然と解きほぐす明るい笑顔。それらへと触れる度に、彼の心拍数と体の熱は上がるばかりだ。
1622あの子は多彩な感情を乗せて自分の名をよく呼んでくれる。呼ばれる度に、総てに赦しを与えそうな柔らかく優しい彼女の歌声を独り占め出来ている気がして、胸が熱くなった。
彼らの間に存在する関係性は“同じスタジオを利用するただの音楽仲間”という、至極シンプルなものだ。
たまに互いのライブを見学に行くくらいのなんでもない仲間。ただ一つ違うのは、自分があの子にどうしようもなく惹かれている事。
自然と癒されてしまう歌声、柔和な人柄に見えて遠方の故郷から此処まで一人旅して来た度胸、周りの空気を自然と解きほぐす明るい笑顔。それらへと触れる度に、彼の心拍数と体の熱は上がるばかりだ。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
頂いたお題:純愛チョコレート
お題配布元:夢見月*
純愛チョコレート『甘いキスとはどんなものかしら?』
そう言った私へ、彼はグラスに盛られた一口チョコを摘むとキスと共に口移しで押し込んで来た。
チョコはどんどんとろけて、彼の舌は容赦なく絡み続ける。
褐色の甘味が完全に溶け消えた後に唇を離して『これでも純愛だ』と笑う彼は、やっぱりイジワルだわ。
(おわり)
144そう言った私へ、彼はグラスに盛られた一口チョコを摘むとキスと共に口移しで押し込んで来た。
チョコはどんどんとろけて、彼の舌は容赦なく絡み続ける。
褐色の甘味が完全に溶け消えた後に唇を離して『これでも純愛だ』と笑う彼は、やっぱりイジワルだわ。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。恋人ではない二人。
お題を頂きました。
ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
頂いたお題:星屑を散らばした瞳
お題配布元:夢見月*
波打ち際の宇宙テニス大会でやって来た南の島。
滞在ホテルの近くに存在する砂浜へとワルイージはやって来ていた。今は静かな夜で、波音と砂を踏みしめる足音しか聞こえない。
ここへはなんとなく夜の散歩へ出た。太陽燦々の昼間より、月が柔らかく光を放つこの時間の方が落ち着いて好きだ。
オーバーオールのポケットに手を突っ込み、猫背気味に歩んでいると、波打ち際に立つ誰かの姿が前方に見えて来る。
さくさくと白い砂に足跡を付けながらしばらく進む。その人影がはっきり輪郭と色を伴って目に飛び込んで来た。
波打ち際に佇み、静まった水平線を眺める姿はやはり美しい。爽やかな色の流れるようなドレスも、宝石の嵌った銀の王冠も、金糸の髪も、月の明かりに照らされてぽうっと仄かな聖なる光を放っているように見える。
1237滞在ホテルの近くに存在する砂浜へとワルイージはやって来ていた。今は静かな夜で、波音と砂を踏みしめる足音しか聞こえない。
ここへはなんとなく夜の散歩へ出た。太陽燦々の昼間より、月が柔らかく光を放つこの時間の方が落ち着いて好きだ。
オーバーオールのポケットに手を突っ込み、猫背気味に歩んでいると、波打ち際に立つ誰かの姿が前方に見えて来る。
さくさくと白い砂に足跡を付けながらしばらく進む。その人影がはっきり輪郭と色を伴って目に飛び込んで来た。
波打ち際に佇み、静まった水平線を眺める姿はやはり美しい。爽やかな色の流れるようなドレスも、宝石の嵌った銀の王冠も、金糸の髪も、月の明かりに照らされてぽうっと仄かな聖なる光を放っているように見える。
小さな葉っぱ
DOODLESB69より双ルフ。※ショバフェスメインストーリーのネタバレ注意。
ツイッターに画像小説として投稿したもの同じです。
ただひとつのねがい双循さんが919って人のネクタイを掴んで動きを止める。
こんな状況で危険な敵前に飛び出すなんて。ほわんとシアンちゃんの歌をサポートする為にドラムを叩くけど、双循さんの事も気になって手元が狂いそうになる。
直後に聞こえて来たのは『すまんかった』って言葉。そして『帰って来い』という訴え。
いつもは人を喰ったような発言ばかりのあの人。でも、その願いが純粋で、切実で、真剣だって事が声の色から痛いほど伝わる。
この日食で隠れている太陽がもし見ているのなら、お願い。どうか、弟さんに戻って来て欲しい双循さんの、自分の存在をも懸けたたった一つの願いを叶えてあげて。
心の中で唱えながら、ドラムスティックを握る私の手には祈りによる力が籠っていた。
325こんな状況で危険な敵前に飛び出すなんて。ほわんとシアンちゃんの歌をサポートする為にドラムを叩くけど、双循さんの事も気になって手元が狂いそうになる。
直後に聞こえて来たのは『すまんかった』って言葉。そして『帰って来い』という訴え。
いつもは人を喰ったような発言ばかりのあの人。でも、その願いが純粋で、切実で、真剣だって事が声の色から痛いほど伝わる。
この日食で隠れている太陽がもし見ているのなら、お願い。どうか、弟さんに戻って来て欲しい双循さんの、自分の存在をも懸けたたった一つの願いを叶えてあげて。
心の中で唱えながら、ドラムスティックを握る私の手には祈りによる力が籠っていた。
小さな葉っぱ
DOODLESB69より91しま。お題を頂きました。クロモスとゼロホリ(ゼロティク)に共通の敵が現れ、共闘潜入する事になった二人。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
頂いたお題:私は、貴方に守られなきゃ生きていけないような弱い人間じゃないわ
お題配布元:夢見月*
偽カップルパーティー会場へ続く長い廊下を二人並んで歩む。進む二人分の靴を赤い絨毯が鈍い音で受け止めていた。
カップル役としてこの宴に潜入し、情報を得て来る事が919としまっくに与えられた任務だ。
「ちっ、なんでてめえなんかと恋人役を……。13の野郎の指示とはいえ、イラつくぜ」
ダークグレーの背広姿をした919が前頭部に手を置き、頭を抱える。
「私だって潜入するならハカセとが良かったわよ。ま、四の五の言ったってしょうがないわ」
「おい、潜入がバレても自分のケツは自分で拭けよ?」
919が横目で鋭い視線を向ける。肩出しの深い紫色をしたマーメイドドレス姿に、心臓がおかしな音を立てた事にイラつきながら。
「あーらお生憎様。私はあんたに護ってもらうほど弱いミューモンじゃないの。それより、ちゃんとバレないようエスコートしなさいよ?」
575カップル役としてこの宴に潜入し、情報を得て来る事が919としまっくに与えられた任務だ。
「ちっ、なんでてめえなんかと恋人役を……。13の野郎の指示とはいえ、イラつくぜ」
ダークグレーの背広姿をした919が前頭部に手を置き、頭を抱える。
「私だって潜入するならハカセとが良かったわよ。ま、四の五の言ったってしょうがないわ」
「おい、潜入がバレても自分のケツは自分で拭けよ?」
919が横目で鋭い視線を向ける。肩出しの深い紫色をしたマーメイドドレス姿に、心臓がおかしな音を立てた事にイラつきながら。
「あーらお生憎様。私はあんたに護ってもらうほど弱いミューモンじゃないの。それより、ちゃんとバレないようエスコートしなさいよ?」
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりクロシア。口の悪いカフェ店員×常連さんパラレル。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
公式のギャルソンミニキャラクロウちゃんから着想を得ました。
ストロベリーフラワーまたあの子は自分の腰の辺りを見つめている。可愛らしい真ん丸な目をして。
何故そんなに注目して来るのか、ある日いつものイチゴパフェをテーブルへ届ける時に尋ねてみた。
「お兄さんのそれ! イチゴのお花みたいで可愛いにゃ!」
綺麗にネイルの塗れられた人差し指が彼の腰の紐飾りを示す。その中央には小さな花のような飾りが。
急にかあっと顔が熱くなる。
「なっ、バカちげーよ!」
パフェを置いて足早にその場を去る。
――イチゴ好きな君を近くに感じたかった。
『見抜かれてた!』と恥ずかしくなり、テーブルを振り向けないままトレイでストロベリーカラーの顔を必死に隠した。
(おわり)
285何故そんなに注目して来るのか、ある日いつものイチゴパフェをテーブルへ届ける時に尋ねてみた。
「お兄さんのそれ! イチゴのお花みたいで可愛いにゃ!」
綺麗にネイルの塗れられた人差し指が彼の腰の紐飾りを示す。その中央には小さな花のような飾りが。
急にかあっと顔が熱くなる。
「なっ、バカちげーよ!」
パフェを置いて足早にその場を去る。
――イチゴ好きな君を近くに感じたかった。
『見抜かれてた!』と恥ずかしくなり、テーブルを振り向けないままトレイでストロベリーカラーの顔を必死に隠した。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。お題を頂きました。
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
頂いたお題:お嬢さん、恋はいかが?
お題配布元:確かに恋だった @utislove
その花の名前は恋「お嬢さん、恋はいかが?」
紫の帽子を軽く上げて挨拶し、キザな事をいきなり言って来る彼。きょとんとしていると、彼の手が自分の鼻先で空気を掴むように動く。
次の呼吸よりも早い刹那に彼の手中へ現れたのは、真紅のバラ。
少し驚いてパチンと大きな瞬きをした彼女は、すぐに和んだ短い声と一緒に笑みが湧き上がった。
「あらあら、可愛い恋ですね」
「なーんだ、もっと驚いてくれると思ったのによお」
「驚きましたよ、でもそれ以上に嬉しかったので」
――喜ばせる為に一生懸命練習してくれた、彼の気持ちが。
バラを持った彼の手をそっと胸に引き寄せる。『お返しです』と彼の尖った赤鼻へ、リップでつやつやと光る柔らかい唇を寄せた。
(おわり)
311紫の帽子を軽く上げて挨拶し、キザな事をいきなり言って来る彼。きょとんとしていると、彼の手が自分の鼻先で空気を掴むように動く。
次の呼吸よりも早い刹那に彼の手中へ現れたのは、真紅のバラ。
少し驚いてパチンと大きな瞬きをした彼女は、すぐに和んだ短い声と一緒に笑みが湧き上がった。
「あらあら、可愛い恋ですね」
「なーんだ、もっと驚いてくれると思ったのによお」
「驚きましたよ、でもそれ以上に嬉しかったので」
――喜ばせる為に一生懸命練習してくれた、彼の気持ちが。
バラを持った彼の手をそっと胸に引き寄せる。『お返しです』と彼の尖った赤鼻へ、リップでつやつやと光る柔らかい唇を寄せた。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりハチデル。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
花屋の蜂さん遠く離れた父へ花でも――と思い、入った花屋。
そこに店員として店番をしていたのは、マスターにチケットを貰ってかつてライブを見に行ったどこ指のメンバーの一人。
「父親への贈りもんならやっぱこれだな! 白いバラ! ほんとは父の日向けの花だけどよ、娘からのプレゼントならファーッと喜んで貰えるに決まってるぜ!」
「では、白バラの花束をください」
彼はレジ打ちも花束を包むのも手馴れたもので、見惚れるような手捌きだ。
ライブ中、いきなり喧嘩を始めた時は怖そうだと思ったのに――。
「親父さんに喜んで貰えるたらいーな!」
ニカッとギザギザの歯を覗かせる白バラ越しの純粋な笑顔が、輝くものとして彼女の朱色の瞳に映る。
何故かどきりと心臓が跳ねた。
326そこに店員として店番をしていたのは、マスターにチケットを貰ってかつてライブを見に行ったどこ指のメンバーの一人。
「父親への贈りもんならやっぱこれだな! 白いバラ! ほんとは父の日向けの花だけどよ、娘からのプレゼントならファーッと喜んで貰えるに決まってるぜ!」
「では、白バラの花束をください」
彼はレジ打ちも花束を包むのも手馴れたもので、見惚れるような手捌きだ。
ライブ中、いきなり喧嘩を始めた時は怖そうだと思ったのに――。
「親父さんに喜んで貰えるたらいーな!」
ニカッとギザギザの歯を覗かせる白バラ越しの純粋な笑顔が、輝くものとして彼女の朱色の瞳に映る。
何故かどきりと心臓が跳ねた。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターに投稿した画像小説と同じものです。
診断メーカーでお題を頂きました。
↓頂いたお題
【お題ひねり出してみた】
ワルロゼへのお題は『嘘吐きの心臓』です。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/392860
嘘吐きの心臓『恋になんて興味はない』
なにか期待をもって恋愛に関して質問をして来た美しい綺羅星に、なるべく冷たく返す。
「恋愛が全てではないですものね」
口ではそう言っても、エメラルドグリーンの瞳には気後れした落胆が浮かんでいる。
興味がないなんて、本当は嘘だ。髪に触れて顔全体を見てみたいし、白い玉肌の手や頬はどんな感触だろうと想像した事もある。
話しをする度にこの嘘吐きの心臓は、口から出るものとは逆さまの恋慕という血潮を送り出していた。
(おわり)
223なにか期待をもって恋愛に関して質問をして来た美しい綺羅星に、なるべく冷たく返す。
「恋愛が全てではないですものね」
口ではそう言っても、エメラルドグリーンの瞳には気後れした落胆が浮かんでいる。
興味がないなんて、本当は嘘だ。髪に触れて顔全体を見てみたいし、白い玉肌の手や頬はどんな感触だろうと想像した事もある。
話しをする度にこの嘘吐きの心臓は、口から出るものとは逆さまの恋慕という血潮を送り出していた。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。診断メーカーでお題を頂きました。
ツイッターで画像小説として投稿したものと同じです。
↓頂いたお題
【推しCPキャッチコピー決めてみたったー】
ワルロゼのキャッチコピーは
「愛しい君は、桜に溶けて消えそうだった」です
#私の推しcpキャッチコピー #shindanmaker
https://shindanmaker.com/1119805
花吹雪の中で桜並木の道。目と心を奪う景色に興奮気味の彼女が少し前を歩く。
突如吹き荒ぶ風。大量に舞い落ちて来る花弁に隔てられたような気がして、差し込む木漏れ日も淡い桃色に光ったようにも見えた。
消えてしまう。そんな焦燥が胸に擦り傷を作りながらよぎって、思わず手首を掴んでしまった。
振り返った彼女になんと言って良いが分からず視線を泳がせる。
彼女は掌で花弁を受け止めると指を折って閉じ込め、その手を彼の胸へと充てた。
此処に居る――彼女の手が優しく語っている気がした。
228突如吹き荒ぶ風。大量に舞い落ちて来る花弁に隔てられたような気がして、差し込む木漏れ日も淡い桃色に光ったようにも見えた。
消えてしまう。そんな焦燥が胸に擦り傷を作りながらよぎって、思わず手首を掴んでしまった。
振り返った彼女になんと言って良いが分からず視線を泳がせる。
彼女は掌で花弁を受け止めると指を折って閉じ込め、その手を彼の胸へと充てた。
此処に居る――彼女の手が優しく語っている気がした。
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりみこラパ(キャプテンみこみこ×キャンディラパン)。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
かわいいのは禊を終えた夕暮れの波止場のコンクリートの上。明日の出航に備えた積み荷のチェックをしていた。
「あの!」
ソプラノの声に突然呼び止められてそちらを見る。そこには垂れた大きな黄色い耳が特徴の女性が立っていた。耳から察するに自分と同じウサギ系の種族だろか。
「今日のライブ――じゃなかった、禊すっごく良かったです! 褒め言葉になってなかったらごめんなさい、とっても可愛かったです!」
夕暮れの景色を写し出す、意思の強い煌めく瞳。
「えっと、それだけ伝えたかったんです! では失礼しますッ!」
彼女は踵を返して軽快なステップで走り去って行く。
彼の手は自ずと引き止めるように伸ばされていた。しかし揺れるあの大きな耳は、既に届かないほど遠くに居た。
384「あの!」
ソプラノの声に突然呼び止められてそちらを見る。そこには垂れた大きな黄色い耳が特徴の女性が立っていた。耳から察するに自分と同じウサギ系の種族だろか。
「今日のライブ――じゃなかった、禊すっごく良かったです! 褒め言葉になってなかったらごめんなさい、とっても可愛かったです!」
夕暮れの景色を写し出す、意思の強い煌めく瞳。
「えっと、それだけ伝えたかったんです! では失礼しますッ!」
彼女は踵を返して軽快なステップで走り去って行く。
彼の手は自ずと引き止めるように伸ばされていた。しかし揺れるあの大きな耳は、既に届かないほど遠くに居た。
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりクロシア。ツイッターに画像小説として投稿したものと同じ作品です。
寝姿ドキリ事務所内の長椅子に座る彼を見かけ、ぴょこぴょことした軽快な足取りで近づいた。
「クロウちゃん! って、あれ?」
彼は腕を組み、少し俯いて眠りの世界に居た。
彼女は揺れがなるべく起こらないよう静かに隣へ座る。睡眠から覚醒させて話を――とは思わなかった。
体を少し前に乗り出し、舟を漕ぐその横顔を見る。
男性にしては長く瑞々しいまつ毛、『顔はやめてくれ』とロムに言うだけあるきめ細かい玉肌、普段深紅の情熱の歌が迸る唇は今は静かに形良く閉じている。
綺麗――横顔だけでなく、髪の赤い部分と黒い部分の境目にすらそう感じた。
自分の心が、瞳が、潤うのが分かる。
うるさい筈の心音も気にならないほど恍惚をまとった指先が、ゆっくり彼の頬に伸びた。
324「クロウちゃん! って、あれ?」
彼は腕を組み、少し俯いて眠りの世界に居た。
彼女は揺れがなるべく起こらないよう静かに隣へ座る。睡眠から覚醒させて話を――とは思わなかった。
体を少し前に乗り出し、舟を漕ぐその横顔を見る。
男性にしては長く瑞々しいまつ毛、『顔はやめてくれ』とロムに言うだけあるきめ細かい玉肌、普段深紅の情熱の歌が迸る唇は今は静かに形良く閉じている。
綺麗――横顔だけでなく、髪の赤い部分と黒い部分の境目にすらそう感じた。
自分の心が、瞳が、潤うのが分かる。
うるさい筈の心音も気にならないほど恍惚をまとった指先が、ゆっくり彼の頬に伸びた。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
お題を頂きました。
頂いたお題:見ているだけで良かったのに。欲張りになる。きみが欲しくなる。
お題配布元:確かに恋だった(@utislove)
すれ違う度にカート中に追い抜き、追い抜かれる時。パーティー中に同じマスに偶然止まった時。アプリコットの香水の香りが、より艶麗に彼女を魅せつけて来る。鼻を抜けて脳にまで惑乱がじわりと広がる。
その度に手に入れたくなって、何処か遠い場所へ攫ってしまいたい。戦闘力の差は歴然なのでそれは叶わない事なのだが。
冷静さも、母親としての顔も、意外と世間知らずなところも、無邪気なところも、彼女にまつわる事総てが魅力的。
“見ているだけで良かった”――その感情は、今では遠い世界に消えた言い訳。
(おわり)
242その度に手に入れたくなって、何処か遠い場所へ攫ってしまいたい。戦闘力の差は歴然なのでそれは叶わない事なのだが。
冷静さも、母親としての顔も、意外と世間知らずなところも、無邪気なところも、彼女にまつわる事総てが魅力的。
“見ているだけで良かった”――その感情は、今では遠い世界に消えた言い訳。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものになります。
【お題ひねりだしてみた】
小さな葉っぱへのお題は『境界線なんていらない』です。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/392860
境界線なんていらない(ワルロゼ)「なにかお悩みですか?」
――あんたを愛しそうなのが怖い。
ずっと独りで構わないと生きて来た筈なのに。その感情を揺るがす綺羅星と出会ってしまった。
身分の違い、寿命の違い、そんな境界線なんてない方が良いんだ。越えるべき線などなく、ずっとパーティー仲間という壁に阻まれていた方が、きっと彼女の為になる。
そう思っている、のに――。
心配そうな様子で手を包み込む彼女の両手に、境界線を越える明日を何処かで望む自分が居た。
(おわり)
216――あんたを愛しそうなのが怖い。
ずっと独りで構わないと生きて来た筈なのに。その感情を揺るがす綺羅星と出会ってしまった。
身分の違い、寿命の違い、そんな境界線なんてない方が良いんだ。越えるべき線などなく、ずっとパーティー仲間という壁に阻まれていた方が、きっと彼女の為になる。
そう思っている、のに――。
心配そうな様子で手を包み込む彼女の両手に、境界線を越える明日を何処かで望む自分が居た。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりヤスほわ。ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
【お題ひねりだしてみた】
小さな葉っぱへのお題は『境界線なんていらない』です。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/392860
境界線なんていらない(ヤスほわ)年端の変わらぬ都会の男の子に話し掛けるなど初めてで、飛び切りの緊張を抱えながら思い切って彼の前へ飛び出して行く。
今日のライブにも心動かされた、痺れた、それをどうしても伝えたくて。
髪に隠れていない方の隻眼に始めは驚きが浮かんでいたが、彼女だと認識するとその眼圧は幾分か緩んだ。
「お前、確か一緒のスタジオ使ってる……」
挨拶もそこそこに辿々しくあたふたしながら用件を伝える。
勇気を振り絞った言葉たちを受けた彼は、
『そっか、ありがとよ』
と照れ臭そうに微笑んでくれた。
それは、“境界線はいらない”と気さくに語らってくれているようで、いつまでも眺めていたい。そう本能の部分が小さく揺れ動く笑みだった。
(おわり)
310今日のライブにも心動かされた、痺れた、それをどうしても伝えたくて。
髪に隠れていない方の隻眼に始めは驚きが浮かんでいたが、彼女だと認識するとその眼圧は幾分か緩んだ。
「お前、確か一緒のスタジオ使ってる……」
挨拶もそこそこに辿々しくあたふたしながら用件を伝える。
勇気を振り絞った言葉たちを受けた彼は、
『そっか、ありがとよ』
と照れ臭そうに微笑んでくれた。
それは、“境界線はいらない”と気さくに語らってくれているようで、いつまでも眺めていたい。そう本能の部分が小さく揺れ動く笑みだった。
(おわり)