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    #西谷夕

    nishitaniYuki

    小栗ビュン

    DONE東西真ん中バースデー!!
    大人時代からさらに十年後の東峰旭とモブ女子の会話。
    十年後のバースデー「東峰さん、お疲れ様でした。」

    春の新作の発表を無事に終えることができて、そのお披露目ショウが終わった会場でただ立ち尽くしていた時だった。後輩の女子社員から労いの言葉を貰い、ふと我にかえる。

    「ありがとう、細かいところも手伝ってもらえて、本当に助かった。」

    いつの間にか後輩が出来て、追い抜かれたりする焦りも感じて、あっという間の十年間だった。ヘーゼルナッツのような色の柔らかい髪が、微笑んだ際に揺れた。

    「お疲れ様でした、先輩。」

    「ありがとう。」

    それからちらほらと後輩がやってくる。片付けを手伝ってくれる事務所の後輩達を見ていると、つい最近まで一緒にコートの中にいたあいつらを思い出す。あの時から、倍の年齢を生きている。三十代はあっという間だなんて言うけれど、全くその通りだった。俺は最初に入ったデザイン事務所に籍を置きながら、フリーの仕事も手がけて生きている。アパレルデザイナーだけあって、皆個性的な服で働いている姿を見ると、あの二色で統一されたユニフォームを着た排球男児が恋しくなるのは何故だろう。大きな仕事を終えた日に限って、何故懐かしむ感情が強くなるのだろう。
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    小栗ビュン

    DONE6話中1話目。西谷夕編。
    海獣のバラード~人の子~世界に同じ顔した人が三人いるという迷信は聞いたことがある。けれど、同じ顔をしたやつとなんて出会ったとこがない。会いたくもない。けれど、恋人と同じ顔した人なら少しだけ見てみたい。

    「うちの旭さんの方がかっけぇだろ」って言ってやれるから。

    そんなことを考えているうちに、それでは恋人に対して失礼なのかそうではないのか、わからなくなってきて陸路の移動中に眠ってしまっていた。なぜそんなことを考えていたのか。

    この時点で、俺はもう、呼ばれていたのかもしれない。

    西谷夕は今、北海道を縦断していた。




    遡って昨日のこと。

    「今度は北海道の先っぽに行ってきます。」

    「マジか、締切が迫ってなかったら一緒に行ったんだけどなあ。」

    久しぶりの国内の冒険に、心配性の彼氏が安心と悲しみを合わせた複雑な顔をしていた。旭さんは止めても無駄ということを知ってくれている。その上で、時々渡航するのに細心のチェックを俺にしてくれる。毎日の世界情勢が変わるのは肌で感じているし、そんな中で出会う人達との時間がダイレクトに教えてくれる。日本て小せえなってつくづく思うけれど、日本てやっぱ寝る場所にはいいよなって思ったりする。一番の寝床は、旭さんといるベッドだ。それに限る。
    10610