囚われRabbits
TRAINING2号の中ではそれぞれに対して「三途の川」をテーマに色々と解釈があるのですが、幸真には生前に是非この話をして欲しいという願望がある。珍しく幸真です。
背負わずに抱えていて夏、蝉の声がジンジンと耳に木霊する。汗で張り付く布と肌、照らしつける鋭い太陽の光。身を焦がす、灼熱の地獄――。ラケットがブンブンと唸り、タンタンタンとテニスボールが跳ねる音がする、蝉が懸命に恋焦がれる叫び声を上げる中で、いつもの怒声が飛び交う音は親しみ慣れた日常だった、すくなくともあの日迄は。涼しい部屋、微かに聴こえる蝉の声だけが静寂を凌いでくれる。夕刻の音が響くまで幸村精市の夏は来ない。
ガラガラと病室の扉が開いて、真田弦一郎がそこには立っていた。幸村にとっての旧知の仲……幼なじみであり、同じ志を持ち、そして常に共にあった相手であり、幸村の想い人。約束した未来は、今は未だ果たせないけど……果たすことも難しいのかも知れないけど。他の誰かには見せられない弱気な心は、真田にだけは晒すことが出来る。
2059ガラガラと病室の扉が開いて、真田弦一郎がそこには立っていた。幸村にとっての旧知の仲……幼なじみであり、同じ志を持ち、そして常に共にあった相手であり、幸村の想い人。約束した未来は、今は未だ果たせないけど……果たすことも難しいのかも知れないけど。他の誰かには見せられない弱気な心は、真田にだけは晒すことが出来る。
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DOODLEトレス素材使ってて落書きって言っていいのかわからないんですが、杏ちゃんって絶対将来美人さんになるよね!ちゃな服とか似合いそうだよね!っていう話を一号さんとしていたので二号は描きました※トレス絵
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TRAINING22/3/23_九州二翼大人なちとたち
どんな苦情も受け付けておりません。
あと、大抵の方言は何となくかけますが、九州弁は全然わからんとです。
爪先を溶かす 雪解けの春、三月。もう時期新芽が生え揃う穏やかな気候は、大型低気圧の影響か崩れるに崩れザアザアと連日雨が降り続いていた。雨霰、増して雪。雪解けなど、春告など忘れたかの様に積もっていく。橘桔平は、大きな窓からそれをぼうっと眺めていた。
部屋の中から見える漆黒と揺れる牡丹雪。稼働音を鳴らしながらも、外気の低さからちっとも温まらないエアコンの風……。何が特にある訳でもないが、漆黒の闇が不動峰のジャージを思わせた。あの輝かしくも熱いあの日々は、大人になった今になっても忘れることの無い永遠だと橘は思う。
「桔平、寒かけんカーテン」
「千歳帰ってきとったんか、悪か」
さっきまで、確かに一人きりだったのに気配の一つもなく現れた千歳千里に橘は驚きの一つも見せずに言った。長年の付き合い、とも言えるし橘にとっても千歳にとってもこのなんとも言えない距離感こそが日常でもある。
1570部屋の中から見える漆黒と揺れる牡丹雪。稼働音を鳴らしながらも、外気の低さからちっとも温まらないエアコンの風……。何が特にある訳でもないが、漆黒の闇が不動峰のジャージを思わせた。あの輝かしくも熱いあの日々は、大人になった今になっても忘れることの無い永遠だと橘は思う。
「桔平、寒かけんカーテン」
「千歳帰ってきとったんか、悪か」
さっきまで、確かに一人きりだったのに気配の一つもなく現れた千歳千里に橘は驚きの一つも見せずに言った。長年の付き合い、とも言えるし橘にとっても千歳にとってもこのなんとも言えない距離感こそが日常でもある。