Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    #ワヒロ

    ばったもん

    PROGRESS【始まりの春】第二話
    (2021.04.11)
    モルタルを丁寧に重ね、ブロックを積み鉄筋を横に組んでまたモルタルを重ねてブロックを積む。
     宗一郎としてはあまり器用ではないという自覚はあるので、できるだけ丁寧な仕事を心がけるしかない。
     家主である品の良い老婦人に見守られ、宗一郎が老婦人宅の壊れたブロック塀を補修しているのは、登校途中に出会った浅桐に、ヒーロー活動へ行くとそのまま連れてこられたからだ。
     昨日戦闘のあった地区では、住民達がイーターに壊された塀や庭、道路などの復旧作業をしていたが、驚いたことに作業をしている大半が職人では無く近隣住民だった。しかも作業に出ている住民はご高齢で瓦礫を除けるだけでも難儀している様だった。
    「職人が足りねぇんだよ。毎日の様にどっかしらイーターが壊しちまうからな。どうしてもライフラインや主要施設優先で個人宅ってのは後回しになるもんだ」
     浅桐にしっかり働けよと背を押され、住民の皆さんに若い労働力と大歓迎されたのが一時間ほど前の事。そして宗一郎は今、浅桐が「チヨ婆ぁ」と呼ぶ老婦人宅の庭で新しいブロック塀を積んでいる。
     こうして黙々とブロックを積んでいると、どうしても頭の隅に昨日浅桐に言われたこと 7625

    ばったもん

    PROGRESS【始まりの春】第一話
     今ではツーカー(古)な戸上さんと浅桐さんも、入学したての一年生の時には上手く連携出来なかったりしたのかなという妄想です。
    (2021.03.28)
    桜が舞う。
     満開の桜道の下、学び舎の門をくぐる若者達に今年もまた幼さの残る顔立ちが混じる季節になった。
     柔らかな春の日差しの中をはらはらと降り注ぐ薄紅の一片が、真新しい制服の肩へと舞い落ちる。
     桜が咲き誇る校庭を、戸上宗一郎もまだ身体になじまない赤錆色のブレザー姿で校舎へと歩いて行く。長身の宗一郎はゆっくり歩いていても歩幅の広さから進みは早く、その肩で一休みした花弁が風に浚われる様に飛んでいった。

    『ほら、あいつだよ。白星から来たっていうさ……』
    『ヒーローなんだろ? なんでわざわざ白星から?』
    『白星じゃレギュラーになれないからだろ。崖っぷちの崖縁なら誰でもなれるもんな』

     すれ違う生徒達の中に、時折そんな聞こえよがしの声がするが、宗一郎の歩みは変わらない。宗一郎がエスカレーター式に進学出来たはずのヒーローの名門高、白星第一学園の付属中学から崖縁工業へと外部進学する事を決めた時、それなりにゴタゴタも有り、仲間達やとりわけ後輩には迷惑をかけてしまった。そのことで古巣の白星でも宗一郎の選んだ道を快く思わない者も少なからず居た。
     だが、共にヒーローを目指して訓練していた仲間達の 7533