遺失物取扱所-6 がたん、と耳障りに大きく響いた音がした。
急な濁流のように音が脳に流れ込み、無理やり眼をこじ開ける。そのままばたばたとどこかに走り出す音がして慌てて跳ね起きたが、頭がふらついて一瞬眼の前が見えなくなった。暗くなった視界に頭を押さえて名取は何度か瞬きを繰り返した。
意識を無理やり覚醒に持って行かれて追い付かない。開かない眼を開けると霞んだ視界の先で部屋の引き戸が大きく開け放されているのが見えた。
いつの間にか眠っていたらしくずいぶん時間が経っている。室内は真っ暗な夜だ。
だが、外からは明るい光が差し込んでいる。一瞬昼かと見紛うばかりの明るさだ。星の灯だけでこれほどに明るくはならないだろう。月明かりが強い。
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