じゃくせーくん
PASTサルベージその2闇市の時の先生とヒスイさん
アウ狐「おいっ、クソ野郎!聞いてないぞ!!」
「アハハ♡聞かれてないからねぇ〜♡じゃ、ごゆっくり〜」
いつもの上司の笑い声と、聞き覚えのない男の怒号。扉の前には顔を赤らめ苦しそうに息をする美丈夫がいた。
ヒスイ──この組織では『狐』と呼ばれてる──が幹部の玩具にされているのは周知の事実だった。ヒスイもそれを容認していたし、この地獄で生き抜く術として享受していた。
部屋に放り出された男をヒスイは知っている。名はアウグスト。大半の構成員は偽名を使っているがおそらく真名なのだろう。自ら望んで闇市に来た狂人で、懲罰班の主。イカれた上司のお気に入りだが、酷い扱いは受けていないらしい。綺麗な顔をして丁寧な喋り方をする傍若無人な乱暴者。自分以外の他人を道具だとしか思っておらず、懲罰という名目で対象者を殺害したことが多々。自由奔放で幹部に対しても敬語も使わないが、任された仕事は大抵こなす幹部の犬。陰では「狂犬」と蔑まれている。顔を合わせたことは無いが、闇市で知らない奴はいないと思える有名人だ。
2622「アハハ♡聞かれてないからねぇ〜♡じゃ、ごゆっくり〜」
いつもの上司の笑い声と、聞き覚えのない男の怒号。扉の前には顔を赤らめ苦しそうに息をする美丈夫がいた。
ヒスイ──この組織では『狐』と呼ばれてる──が幹部の玩具にされているのは周知の事実だった。ヒスイもそれを容認していたし、この地獄で生き抜く術として享受していた。
部屋に放り出された男をヒスイは知っている。名はアウグスト。大半の構成員は偽名を使っているがおそらく真名なのだろう。自ら望んで闇市に来た狂人で、懲罰班の主。イカれた上司のお気に入りだが、酷い扱いは受けていないらしい。綺麗な顔をして丁寧な喋り方をする傍若無人な乱暴者。自分以外の他人を道具だとしか思っておらず、懲罰という名目で対象者を殺害したことが多々。自由奔放で幹部に対しても敬語も使わないが、任された仕事は大抵こなす幹部の犬。陰では「狂犬」と蔑まれている。顔を合わせたことは無いが、闇市で知らない奴はいないと思える有名人だ。
じゃくせーくん
PAST息抜きしたのをサルベージ。BUTCHER VANITYを聞きながら書きました。
人殺しは料理が上手い(現パロギナボス未成立)浅黒い大きな手で包丁を持つ。肉を切り分け、野菜をざく切りにする。菜箸で鍋をかき混ぜ、玉杓子で煮汁をすくっては味見する。そして満足そうな顔をしてこちらに配膳してくるのだ。
体の大きくえらく世話焼きな人殺しは料理が上手かった。
ダチュラは商社の社長であり、ヤクザの組長だ。組長にしては若すぎるが仕事のできるサディストと自由人な異常者のおかげで裏社会を牛耳る一員にまで上り詰めた。
そんなさなか、異常者……カーネリアンが新しい玩具を職場に連れてきた。ダチュラよりも背がうんと高い、恵まれた体格の黒い肌の男だ。おそらく2メートルはあるだろう。応接室のソファーに大きな体を縮ませて座り、緑色と赤色が混ざった目を居心地悪そうにローテーブルに向けている。
3562体の大きくえらく世話焼きな人殺しは料理が上手かった。
ダチュラは商社の社長であり、ヤクザの組長だ。組長にしては若すぎるが仕事のできるサディストと自由人な異常者のおかげで裏社会を牛耳る一員にまで上り詰めた。
そんなさなか、異常者……カーネリアンが新しい玩具を職場に連れてきた。ダチュラよりも背がうんと高い、恵まれた体格の黒い肌の男だ。おそらく2メートルはあるだろう。応接室のソファーに大きな体を縮ませて座り、緑色と赤色が混ざった目を居心地悪そうにローテーブルに向けている。
メノウユキ
PAST今日は朝と夕方に一話ずつ出しますたぶん、今日で青藍の鍵は一区切りつきます
十一話 瞳の色 私とオイカワさんの二人だけの足音だけが響く。道の両側に巨大な本棚が延々と連なっているので進んでいる気がしない。おまけに会話が全くない状態で歩いているので余計に疲れる。だけど、歩くと言った以上へばっていては申し訳ない。
彼の歩行スピードは変わらず、気を抜けばすぐにおいて行かれそうだ。内心必死に追い付こうと歩いていると、唐突にオイカワさんが口を開く。
「そういえばアンタ、どうして追われているかわからないって言ってたな」
「は、はい」
「あの追手の一部から聞いた話によると、一番の要因はアオヤマの目の色らしい」
「え……」
その内容は自分にとって最も触れてほしくないことだった。
反射的に立ち止まり、目を手で隠す。
8021彼の歩行スピードは変わらず、気を抜けばすぐにおいて行かれそうだ。内心必死に追い付こうと歩いていると、唐突にオイカワさんが口を開く。
「そういえばアンタ、どうして追われているかわからないって言ってたな」
「は、はい」
「あの追手の一部から聞いた話によると、一番の要因はアオヤマの目の色らしい」
「え……」
その内容は自分にとって最も触れてほしくないことだった。
反射的に立ち止まり、目を手で隠す。
Utugi_rin_
PAST化合物、インクルージョン立ち絵化合物作成順1~3 雷酸銀(Ag-fulminate-)、シアン化カリウム(K-cyanide-)、テトラカルボニルニッケル(Ni-carbonyl-)
インクルージョン作成順1、2 Cr-inclusion-、Mn-inclusion- 5
とりっこ
PAST薔薇の日その2。自分で言うのも何ですが薔薇の花束持って研究所疾走する隼人は結構気に入ってる。オールドローズの咲く頃緊急時以外は走るなと厳命されている早乙女研究所の廊下を、ガツガツと叩きつけるような荒い音が響く。
走ってはいない。
誰も追いつけないような速度で所長神隼人が歩いているだけだった。
浅間山の山頂一体をその敷地とする広大な研究所の廊下を誰か探しながら歩いているようで、鋭い眼差しを向ける方向に運悪く立っていた若い所員はたまたま目が合ってしまったようで直立不動の姿勢でその場に固まっている。
「ただでさえ人相悪いんですから、若い連中を脅さないでくださいよ」と軽口を叩けるのはD2部隊隊長の伊賀利くらいのものだが、当の本人は「それくらいの度胸もない奴がこんなところに居られるか」と直す素振りもなかった。
猛烈に忙しい人だから早足気味なのはいつものことで、さすが元二号機乗りと言われることもあるくらいではあったが。
2147走ってはいない。
誰も追いつけないような速度で所長神隼人が歩いているだけだった。
浅間山の山頂一体をその敷地とする広大な研究所の廊下を誰か探しながら歩いているようで、鋭い眼差しを向ける方向に運悪く立っていた若い所員はたまたま目が合ってしまったようで直立不動の姿勢でその場に固まっている。
「ただでさえ人相悪いんですから、若い連中を脅さないでくださいよ」と軽口を叩けるのはD2部隊隊長の伊賀利くらいのものだが、当の本人は「それくらいの度胸もない奴がこんなところに居られるか」と直す素振りもなかった。
猛烈に忙しい人だから早足気味なのはいつものことで、さすが元二号機乗りと言われることもあるくらいではあったが。
とりっこ
PAST薔薇の日だそうなのでカム隼再掲。知らんじいさんとか出てきます。いとしのオールドローズ どうしてその日、その人に声を掛けたのか。
まだ夜が明けきらないうちに目が覚めた。
普段からカムイは規則正しい生活を送っているおかげか寝起きは良い方だが、それにしても今日は早すぎる。二度寝でもすれば良いのだろうが、一度目が覚めてしまうと横になったところで眠ることが出来ないのは自分でも面倒な性質だと思っている。寝ようと努力するだけ無駄なので、諦めてベッドから起き上がると顔を洗い、いつもの作業着に着替えた。
(どうするかな)
と、部屋の真ん中に立ち尽くす。隼人から借りている本は全て読んでしまったし、こんな早朝から端末を眺める気にもならない。ブラインドの隙間から外を除くと、陽が出て少しは明るくなってきたようだ。
9045まだ夜が明けきらないうちに目が覚めた。
普段からカムイは規則正しい生活を送っているおかげか寝起きは良い方だが、それにしても今日は早すぎる。二度寝でもすれば良いのだろうが、一度目が覚めてしまうと横になったところで眠ることが出来ないのは自分でも面倒な性質だと思っている。寝ようと努力するだけ無駄なので、諦めてベッドから起き上がると顔を洗い、いつもの作業着に着替えた。
(どうするかな)
と、部屋の真ん中に立ち尽くす。隼人から借りている本は全て読んでしまったし、こんな早朝から端末を眺める気にもならない。ブラインドの隙間から外を除くと、陽が出て少しは明るくなってきたようだ。