金の砂時計(あたしは昔、早く大人になりたくて仕方なかった)
小さな召喚士が幻獣界にやってきたという噂はもう新しいものではない。誰もが少女のことを知っていて、何か困っていることはないか、いつも気にかけてくれるような仲間達ばかりだった。
男性よりも女性が、大人よりも子どもの方が幻獣と繋がりやすい。そう聞いて育ってきたのも間違いではなかったようで、ここの住人達に歓迎と親愛以外何も感じられなかった。
上を向いても太陽も月も出ていない世界。明るさがどこから来るのか、そもそもこの空間がどこまで繋がっているのかも分からない。
母と繋がりが深かったドラゴンに出会えた時、まるで母と再び出会えたような既視感すら覚えた。嬉しくて、でも母がいないことは悲しくて寂しくて、どの理由で泣いているのか分からなくなったリディアに母のドラゴンはただ静かに側に寄り添ってくれて。
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