未来の俺 待ち合わせ場所の公園が見えてきた。流川は足を速める。道路の向こうにあるその公園を利用するのは今日が初めてだった。そこに公園があることも、今日、初めて気がつく。狭くて、葉が生い茂った木に囲まれているから中が見えにくいせいか、公園の手前にある桜木のアパートと流川の家との分岐点で、桜木が指し示すまで、流川の目に留まったことがなかった。いつもなら学校帰りには桜木のアパートに行く。今日はその前に一度家に帰って来いと親に言われていたのだ。スーパーに寄ってから帰りたい桜木が、入れ違いになったら困るなと視線を彷徨わせた先で見つけた公園。部活と居残りとラーメン屋での夕飯を済ませた帰り道だった。後でな、とそう言って、分岐点を過ぎてすぐの横断歩道を渡って公園へと向かう桜木の背中をちらっと見送ってから、流川も家へと急ぐ。何なら桜木も一緒に連れて帰りたかった。だが流川の家だと、意に介さない流川と違って、親御さんがいらっしゃるだろ、といちゃつくのに桜木は気をつかう。さっさとどあほうんとこでのびのびとイチャイチャしてーと思いながら、流川は自宅の門扉を開けた。
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