わんわんわん 黄色い葉を降り散らし、実りの秋も過ぎようとする森は日に日に肌寒さを増していくよう。けれども、昼間の陽だまりを吸った落ち葉の山に寝転がると暖かいようで、冬に備えて食糧を蓄えるいろんな動物たちが温もりを求めて集まってきます。
冬支度に駆け回って疲れた獣がまた一匹、二匹……いえ、二人。
向かい合って背中を丸め、ぴったり身を寄せ合って眠っているのは十代前半くらいの兄弟。お揃いの青髪、丸い頭頂部には、これまたお揃いの狼の耳が。兄、充はフウスウ上下する弟の横腹に毛むくじゃらの手を乗せて、柔らかそうな髪に鼻先を埋め。弟、光は鋭い爪のついた指をきゅっと丸めて、フンスとかかる鼻息に耳をピコピコ震わせ。採ってきた果物を寄せ集めたこんもり山のそばで眠る姿は、まるで獣そのものですが、普段は人里に住んでおり、村の人間と同じ言葉を使って人間と寸分違わぬ生活をしています。
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