匂いついに、ついに推し香水を手に入れた。
長谷部への思いが募れば募るほど、ますます長谷部に近寄りがたくなる。向こうはこちらの気持ちに気づいているようで、ぐいぐいと近づいてくるがこちらの気持ちが持たない。
やめてほしいと伝えても、長谷部はこちらの気持ちに確信を持っているのか、食い下がらなさそうだ。それでは困るのだ。距離をあちらから狭められると正直身が持たない。頭がパンクして、冷静ではいられない。
そう、冷静に嗅げないのだ。長谷部の匂いが!
同様に顔は緊張して勿論見れないし、基本視線は床とか自分のお腹とか、とりあえずとりとめのない場所を眺めている。しかしやはり一番気になるのは長谷部の匂いだろう。近くにいるときにしか味わえない最たるものの一つが匂いである。
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