「おや、もういいのかい?」
「う、うんっ」
昼食時、まだ半分くらいどんぶりに残されているご飯をみて、ラスティカは少し心配そうにクロエに尋ねた。
クロエはコクリとうなづくと、玉乗り練習の続きをしてくると逃げるように外に出て行ってしまう。
(どうして食べてくれないのだろう)
ラスティカとクロエはつい先日二人旅を始めたばかりの化け狸だ。
知り合ってまだ日が浅いせいか、まだまだお互いのことを何も知らない。
理解するにはいささか時間が短かすぎる。
とはいえ、ラスティカもクロエのご飯を食べる量が以前より減っていることに気づいていた。
なぜなのか、どうして食べてくれないのか。
まさか、体調が良くないのだろうか。悪い予想がラスティカの頭の中を巡る。
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