片目をつむる、と、ウインクは同じ動作のように思えるが、チチとしてはアイコンタクト的な意味でのウインクはちょっと苦手である。
トランクスとウインクができるかできないかで本日盛り上がったらしい悟天は兄や父親にできるかどうかを問うて、ふたりができることに頬を膨らませてウインクの修行をするっ! と宣言している。
「おかあさんも一緒に修行しようねっ」
「んだなぁ」
やんわりと笑うチチと悟天はウインクができなかった。正確にはチチは片目は瞑ることができるが、ウインクと呼ぶには拙い。
しかしまぁ、今の孫家でウインクの練習はチチにはちょっとため息をつきたくなる。
「修行だってよ」
「んだ。酒豪だべよ。がんばってするから悟空さは邪魔しちゃだめだべ」
「えー」
ウインクをしようとしてうまくできず、眼を閉じがちなチチを見ると悟空は彼女にキスがしたくなるらしい。したくなる、というよりも、「している。」
ふたりだけのときならまぁいいのだが、子供の見てる前ではやめてほしいチチは次男そっくりに唇を尖らせて文句をいう悟空に苦笑をした。