『夜桜、月下』 何時の時も、魈には鍾離の真意が分からない。当たり前だ、彼の方は[[rb:仙祖 > せんそ]]『[[rb:岩王帝君 > がんおうていくん]]であり、あの魔神戦争を勝ち抜いた岩の魔神モラクスである。一介の夜叉である魈とは生きてきた時間も、その長い時間の全てを費やすようにしてきた『在り方』も、違うのだ。
ゆえに、どうしてこのような状況に自分は置かれているのか、今の魈には分からなかった。
具体的に言うならば、何故か魈は現在、鍾離の持つ[[rb:洞天 > どうてん]]の一つに招かれ、彼と隣り合うように腰を下ろしながら花を見ているのである。
花、と一概に言っても、それは璃月でよくみられる[[rb:草花 > くさばな]]ではない。他国には多く在るという、枝の先に花をつけるようなタイプの広葉樹である。それも、確か――……。
3249