とんっと肩に温もりが触れる。映画を流しているテレビ画面から顔だけを右側に向けて見れば柔らかな紫色が私の肩に乗っかっていた。咄嗟に「浮奇?」と声をかけてから、もし眠ってしまったならそのまま寝かせてあげた方が良いかと気がついて空いている左手で自分の口を覆う。
「ん……ごめん、眠くなっちゃった」
「……寝ていいよ? 映画はいつでも見られるし」
「んー。でも、せっかくスハとデートなのに……」
「私のそばで浮奇がのんびりリラックスしてくれるなら、私も幸せだよ。それに浮奇の寝顔は可愛いから好きなだけ見られるのは嬉しいし」
「……恥ずかしいから見ないでよ」
囁くような小さな声は照れているように聞こえたから、私は浮奇の頭を落としてしまわないように気をつけながら顔を覗き込んだ。私の動きで察して上目遣いでこちらを見遣る浮奇と視線が絡み、ゆっくり瞼を閉じた浮奇に誘われるまま唇を重ねた。
1439