はるうらら ここ数日、ハーツラビュル寮はいつにも増して浮き足立っていた。
「なぁ、お前どんなの描いた?」
「俺はドラゴン描いたぜ!」
「エレメンタリー生かよ」
部屋の外から聞こえてくる会話を聞きながら、エースは目の前の卵とにらめっこをしていた。
季節は春。
ハーツラビュル寮では数日後のイースターパーティーに向けて、寮生達は卵に絵を描いたり、色を塗って飾り付けていた。卵は一人に二つ配られ、最低でも一つは作るように言われていた。エースは適当に一つに色を塗って終わらせるつもりだったが、寮内は各々がどのようなデザインにするのかで話題はもちきりだ。エースも同級生どころか先輩にまで散々聞かれ続け、あまり適当な飾りにできないことを悟った。
4555