棺昨年祖父が亡くなって両親が祖父の家を相続することになり
僕は10歳の頃に引っ越しが決まった。
祖父の家の外観は小さな僕でもわかるような豪華な屋敷で
その大きさに興奮していた。
だがその屋敷には窓がなかった。
唯一の入り口を開くと真っ暗な室内に点々と蝋燭の光が揺れているだけだった。
僕はそれをみて先ほどの興奮などどこかに飛んでいってしまって震えながら母の手をただただ握っていた。
父に窓を取り付けてみてはと提案してもみたが、生前の祖父の遺言に
屋敷はそのままにしてほしいとあったらしく僕の要望は通ることはなかった。
はじめは薄暗い部屋に不満を抱いていた僕も1ヶ月も経つと
それなりに場所も把握することもできたし、以前の僕の家とは比べ物にならない大きさの家にはやはり好奇心を抑えきれなかった。
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