もふ_
PASTまほしめアフターchoipons_2さん(https://poipiku.com/7804683/)との合同誌掲載作品です。
※ルート分岐があるため、こちらへの掲載は分岐手前までとなります。
『紅に溶ける』暗くて、狭くて、じっとりと皮膚にまとわりつくような感覚が嫌い。
まるで土に溶けゆく死骸のように。そこの空気は澱み切っていたのを覚えている。
大嫌いなそこで見つけた一粒の果実は血よりも紅くて
「ははっ…こんな場所でドロドロにならずに育つなんて、よっぽど物好きなんだね。」
死ぬほど甘くて、頭が溶ける味がした。
***
「そういえば。」
それまでフライドチキンに齧り付いていたブラッドリーが口を開く。
「何でオーエンはそんな甘いもの好きになったんだよ」
視線を逸らして、僕はフォークを突き刺したそれを見る。
「味覚音痴なんじゃないですか。」
ボリボリと異様な音を立て消し炭を食らうミスラが言う。
「お前が言うな。」
不意にブラッドリーと言葉が重なる。
1992まるで土に溶けゆく死骸のように。そこの空気は澱み切っていたのを覚えている。
大嫌いなそこで見つけた一粒の果実は血よりも紅くて
「ははっ…こんな場所でドロドロにならずに育つなんて、よっぽど物好きなんだね。」
死ぬほど甘くて、頭が溶ける味がした。
***
「そういえば。」
それまでフライドチキンに齧り付いていたブラッドリーが口を開く。
「何でオーエンはそんな甘いもの好きになったんだよ」
視線を逸らして、僕はフォークを突き刺したそれを見る。
「味覚音痴なんじゃないですか。」
ボリボリと異様な音を立て消し炭を食らうミスラが言う。
「お前が言うな。」
不意にブラッドリーと言葉が重なる。
HATOJIMA_MEMO
DONEまほしめ開催ありがとうございます〜!パスワードはピクリエをご確認くださいなかなかくっつかないミス晶♀シリーズ最新 6話目
深夜の話
タイトル未定 第6話 真夜中のキッチンは、息をするのを躊躇う程に静かだ。
蛇口から落ちた水滴の音に鼓膜を打たれながら、晶はコップを傾ける。程よく冷えた水に、より思考が研がれていくのを感じた。
「余計に目が冴えちゃったな……」
零した声が、コップの水面を揺らす。窓越しに映り込んだ月が歪んだのを見下ろし、晶はそっと息を吐いた。
ミスラが眠るのを見届けて、諸々の寝支度を終えてひとり寝台に転がってから、今に至る。いくら目を閉じても一向に訪れない眠気は、もしかしたらミスラの部屋で使い尽くされてしまったのかもしれない。
(それならそれで、よかったかな)
おかしな想像が、少しだけ晶の心を慰める。しかしすぐ、その口元から笑みは薄れていった。
6868蛇口から落ちた水滴の音に鼓膜を打たれながら、晶はコップを傾ける。程よく冷えた水に、より思考が研がれていくのを感じた。
「余計に目が冴えちゃったな……」
零した声が、コップの水面を揺らす。窓越しに映り込んだ月が歪んだのを見下ろし、晶はそっと息を吐いた。
ミスラが眠るのを見届けて、諸々の寝支度を終えてひとり寝台に転がってから、今に至る。いくら目を閉じても一向に訪れない眠気は、もしかしたらミスラの部屋で使い尽くされてしまったのかもしれない。
(それならそれで、よかったかな)
おかしな想像が、少しだけ晶の心を慰める。しかしすぐ、その口元から笑みは薄れていった。