sabasavasabasav
DOODLE人魚肉ネタの親友。恋愛要素は含まれていませんが、描写が腐向けかと思ったのでタグはCPにしています。話の流れで煮付けにはできなかった……
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驕りが生まれるのが人間であるのだと、数十年前に読んだ本に書いてあった。
ならばこれは、己が人である証とも呼べるのではないか。
──などと、悠長なことは言っていられない。
血に濡れたティアが身動ぎすらせずに地に伏せている。握られていた長棍は無残にも中心から折れ、視界の端に弾き飛ばされていた。
油断していた、なんて言葉では片付けられない不測の事態だった。
悠久の時の中で出会った少年は、他人を拒絶していたテッドの中にいとも簡単に居場所を作り上げた。
ずっと一緒にいることなど出来ないと知りながら、居心地の良さに、信頼してくれるティアの眼差しに、その意欲が削ぎ落とされた。
4132驕りが生まれるのが人間であるのだと、数十年前に読んだ本に書いてあった。
ならばこれは、己が人である証とも呼べるのではないか。
──などと、悠長なことは言っていられない。
血に濡れたティアが身動ぎすらせずに地に伏せている。握られていた長棍は無残にも中心から折れ、視界の端に弾き飛ばされていた。
油断していた、なんて言葉では片付けられない不測の事態だった。
悠久の時の中で出会った少年は、他人を拒絶していたテッドの中にいとも簡単に居場所を作り上げた。
ずっと一緒にいることなど出来ないと知りながら、居心地の良さに、信頼してくれるティアの眼差しに、その意欲が削ぎ落とされた。
sabasavasabasav
DOODLEテ坊。エアスケブその2。夏のテ坊。
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マクドール邸は赤月帝国の中でも類を見ない裕福なお屋敷である。板の張られた床は木造ではなく、実際は煉瓦造りの床にわざわざ板を張っているのだと聞き、想像よりも遙かに質のいい生活をしていると思ったものだった。
強固に作られた家の廊下を歩いているときに床が軋むなんてことは到底起きようがなく、窓を閉めさえしてしまえば帝都の喧噪を感じることがない。首都のど真ん中に建てられているとは到底思えない静寂に包まれた屋敷は武人としてのプライドを有しているマクドールという名にふさわしい家であるとテッドは思っていた。
靴が床を蹴る僅かな接触、服が擦れる音、息を潜める呼吸音。ただでさえ静寂な屋敷の中で生活を共にする従者や父の部下達が眠りに落ちると、その異様さは特に際立つ。しかしそれが、己の身を脅かす者ではないことをテッドは知っている。
3160マクドール邸は赤月帝国の中でも類を見ない裕福なお屋敷である。板の張られた床は木造ではなく、実際は煉瓦造りの床にわざわざ板を張っているのだと聞き、想像よりも遙かに質のいい生活をしていると思ったものだった。
強固に作られた家の廊下を歩いているときに床が軋むなんてことは到底起きようがなく、窓を閉めさえしてしまえば帝都の喧噪を感じることがない。首都のど真ん中に建てられているとは到底思えない静寂に包まれた屋敷は武人としてのプライドを有しているマクドールという名にふさわしい家であるとテッドは思っていた。
靴が床を蹴る僅かな接触、服が擦れる音、息を潜める呼吸音。ただでさえ静寂な屋敷の中で生活を共にする従者や父の部下達が眠りに落ちると、その異様さは特に際立つ。しかしそれが、己の身を脅かす者ではないことをテッドは知っている。