夜のアクアリウムキラキラと水の反射が笹塚の瞳に映り込んでいる。
コポコポと小さい音、人の少ない、いや殆ど2人きりだけのその場所で飽きることなく笹塚は眼前の水槽を見つめていた。口元には分かりやすいほどの笑みを浮かべ、隣に並ぶ俺の指先に笹塚の指先がそっと重ねられている。
【夜のアクアリウム】
スタオケの練習が終わったのが昼も少し回った頃、この後の予定は午後から俺は打ち合わせ、笹塚はジャズのサポメンとして別口からのオファーを受けていて、そちらの合同練習へと向かうべく俺と共に木蓮館を後にする。
俺の打ち合わせの時間の方が早い為、重いコントラバスを持って行かざるを得ない笹塚を送ってやることもこの日は不可能だった。
『ごめんね、俺先に出るけど…』
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