前回の続き
それから⬜️の行動は早かった。
まず身辺整理を始めた。元々部屋を綺麗にしろ、とうるさく🟥に言われてたので残しておいたら大変だろう、もし他の誰かと住んでも大丈夫なように、と掃除を済ませる事にした。
ついついプライベートだとだらしなくなってしまいかなり物が多かったが、あまり使える物もないな…と思いどんどん捨てていった。まだ全てとはいかないけど、数日で全部捨てきれれば…
🟥「珍しいな、君が部屋の掃除をするなんて… 何かあったのか?」
後ろから話しかけられた⬜️。どうやら突然の行動に🟥も少し驚いているようだ。
⬜️「別に、元々数ヶ月に一回は綺麗にしてたんだぜ。そろそろやっておくかなーと思ってね」
悟らせないように普段通りを装う。
元々この計画…消える計画は🟥にバレても良かったし後々バレる予定ではある(死後)のだが、もしバレた上で「そうか良かった、ずっと目の前から消えてほしくてな」と直接肯定されてしまったら、と怖かったのだ。
随分臆病になったな、俺も……と笑う⬜️。
その後🟥も少し怪訝な顔をしていたが食事の時にはいつも通りの🟥に戻っていた。
🟥「おい、TV見ながら食べると溢すぞ」といつも通りのお小言を受けつつ過ごした。バレていなくて良かった。
それから少しずつ掃除をしていくのと同時に諸々の計画も立て始めた。何処で死ぬ、調達する物があるか、とパソコンでこっそり調べておく。この辺りだと海が近いから、離れのところで、この寒い季節にそのあたりで…と決めていった。
そういえば此処に来た時はまだ全然暑くて、海辺を通った時に今度また来れたら良いな、なんて車の中で話した事を思い出した。その時はまだ🟥もメンタルが死んでる時だったのでほぼ俺の独り言だったが……
⬜️「………結局行く事はなかったな」
諸々を決めた後布団に入る。決行は2日後、それまでになんとかこの部屋をもう少し片付けておかないとだな。あと預金の方も🟥の手に入るよう考えておかないと……と考えつつ眠りについた。
🟥「隈が酷いぞ。……また君は夜遅くまで何かやっていたな。新たな機械類でも作っているのか?」
🟥に翌朝指摘されてぎょっとした。最近あまり夜眠れていない。何かバレてやしないか、と思ったが何となくいつもの事だったのでバレてないようだ。よかった……
⬜️「ああ、ハロに新たに手足でも付けてやろうと思ってね 何かと便利だろう」
🟥「ハロに?…まんまるのままでも可愛いだろう」
なんとか上手く誤魔化せた、と安堵しソファに座るとすっ、と目の前にマグカップが差し出される。どうやら🟥が紅茶を淹れてくれたみたいだ。
🟥「今日は一日ゆっくり休養したまえ、急に掃除をしてるからか…疲れてるだろう」
⬜️「えっ………あ、あぁ、ありがたい、いただくよ」
くそ、急に変に優しくしないでほしい、決心が揺らぎそうになる、と思いつつも内心とても嬉しいし………勘違いしそうになる。流石沢山の女の人と一緒にいた🟥だ。扱いが上手いなと自分を納得させながら紅茶を飲んだ。
⬜️「そういえば紅茶なんて珍しいな。普段コーヒーしか買ってなかっただろう、なんかあったのか?」
🟥「昨日近所の方からいただいた。珍しい紅茶なのだそうだ 道で会う度に挨拶してたからな」
最近🟥も好きに外出できるようにした。メンタルも回復してきたし何より自分以外と話す事も大切だ、と許したのだった。
よかった…ちゃんと過ごせている、此処でならきちんとやっていける、安心だ………と安堵した。
これで安心して実行に移せる。
それから一日休養し掃除をまた進めて、準備を整え当日になった。今日だ、と覚悟を決める。
🟥は今日どうやら街の人の手伝いをする、と言って昼から家を出ていた。よかった…変に怪しまれずに外出できる。
消える前に折角だし、何か手料理でも作っていこうか、最近ほぼ🟥に作ってもらいっぱなしだったしな、と一応別れと日々の感謝の気持ちを込めて作っておく事にした。
結果は散々だった。
久々だったからか、元々慣れてないのもあり焦げたりぐちゃぐちゃになってしまった。…えっと…一応これサンドイッチのはずなんだけどな、と笑った。…流石にこれは食べさせられない、と自分用の食事として一緒に持っていく事にした。
そして夕方ごろ、実行のため出発した。目的地は離れの裏の海辺。田舎なのもあり中々夏でも冬でも人がいない、と調べていた。
丁度この冬の気温なら、また沖の方まで行けば溺れて死ぬだろう、と思い海を見にいったら偶然崖?付近から落ちてしまってそのまま……というシナリオを考えていた。
…また海辺付近なら死体も数日後あたりにはどこか流されて見つかるだろう、完全な死を🟥がそこで知る事ができれば、🟥は真の意味で解放される筈だ。誰も🟥の素性を此処では知る人はいない。シャア・アズナブルと言う役割から解放されるだろう、と。
俺が消えれば、🦢の願い…即ち🟥の願いを叶える事ができる。簡単な事だ。大丈夫、できる、できる………
そう考えながら車を目的地まで飛ばした。
出発から少し経ちやっと目的地に到着した。周りにも、此処まで来るまでにも全然人がおらず、ただ波の穏やかな音だけが聞こえる。冬だからかもうすっかり暗くなってしまった。
少しの街頭と月明かりだけが照らしている。⬜️は車を端に寄せ停車する。
…此処にきて半年くらいだろうか、🟥と過ごしてきて、勿論苛立つ事も沢山あったけれど、まあまあ楽しかったかもしれないな、🟥の知らない一面が見れたり、情けない奴っていうのがわかって面白かったな…と想いを馳せていた。
ブライトやチェーン、他のロンドベルの皆はどうしているだろうか、クェスやハサウェイなどの子供達は元気にしているだろうか、ニュースで偶に聞くが詳細は不明だ。
………何もしてやれなくて本当に、すまない。…それでも今の俺は🦢の…そして🟥の願いを叶えたい。これが惚れた弱みだろうか、と軽く笑った。結局人間なんてこんなものなのだ。
さて、じゃあさっきの失敗したサンドイッチをささっと食べて向かうか、と箱を開け食べ始めた。うん…やっぱり美味しくないな……最後くらい、何かいい物でも買ってくれば良かった。と後悔していると、コンコン、と車の窓を叩くような音が聞こえた。
そこには🟥がいた。
…見間違い?いや、幻覚か?しかしまだ車内の暖房の暖かさは残ってるし…と唖然としていると「…開けてくれないか」と声かけられた。
一体どうなっている…?なぜ🟥が此処に………?居場所は教えてない筈だ。それに車でないとこの辺りまで歩きですぐに来れるわけがない。なぜ…と疑問に思いながらも、寒い中可哀想になってきたので入れてやる事にした。
助手席に座る🟥。気まずい沈黙が続く。どうしようか…と悩んでいるとき🟥から「一つくれないか?手伝いが終わって腹が減っていてな…」ひょい、とサンドイッチを手に取られた。
⬜️「あ………!それ結構焦げてるやつだぞ、やめとけ…」
言い終わる前に🟥はパクパクと食べてしまった。よほどお腹が空いていたのか。
⬜️「な?不味いだろ…だからやめとけって」
🟥「別にそんな事はない、美味い。」
ぺろりと平らげてしまった🟥。まさかこいつ…病み期に俺の料理ばかり食べたから舌が馬鹿になってしまったのか、と申し訳なくなった。
🟥「それで、だ。一体こんな所で何をしている?」
🟥に痛いところをつかれる。いや此処で事故を装うとしてました、なんて言えない。何とか誤魔化そう、話題をずらそうと
⬜️「いや、急に冬の海が見たくなってね。何だか静かに風情があるだろ。…それに🟥こそ、何で此処に?歩きじゃこれないだろ」
🟥「丁度手伝いが終わった時にこの車がいつもと違う何処かに向かっているのがわかったからな。頼んでこの少し近くまで車で連れてきてもらったんだ。…帰り際にこの時期にこの辺なんて変だねえと笑っていたさ」
⬜️はまさか、とすぐ車のシートを調べた。運転席の間から何か出てきた。やられた。
⬜️「………GPSか」
🟥「盗難用としてこっそり入れておいたんだがな。」
🟥「それと君のパソコンの検索履歴だがアレは何だ?説明しろ」
どくん、と焦り始める。全て見られていた、くそ、パスワードはかけていたのに…!
🟥「最近の君の行動はおかしいと思っていた。突然掃除をし始め、夜な夜なあんな事を調べて、…一体何を考えている?」
ああ、全てを知られてしまった。失敗した。とこれはもう仕方がない、と諦めて全てを話す事にした。
⬜️は車のドアを開けた。
🟥「おいっ!何処へいく」
ひゅう、と刺すような寒い風の中、冬場立ち入り禁止、と書かれた浜辺を通り抜ける。
🟥「っ…!此処、入ったらまずいだろう、何を考えて…」
⬜️「…俺は、貴方を解放しなければならないんだ。」
🟥「…は?解放?」
⬜️「俺は……この半年の生活の中、貴方が好きになったんだ。…前に夜話し…いや、貴方は覚えていないだろうけど…」
もうここまでバレたんだ、隠しておく必要なんてない、怖くない…と⬜️は話しながら少しずつ海に向かう。
⬜️「貴方を好きになると同時に、貴方を救いたいと思った。…幸せになってほしいと思ったんだ。でも貴方にとっての幸せは俺が居たら叶わない」
🟥「…は?幸せ?救い?一体何を……」
⬜️「だから…貴方を俺という枷から解放する為に、俺が消える事にした。貴方の前から姿、いや存在自体をこの世から消せば…貴方は真の意味で解放されるだろう」
⬜️は靴を脱いだ。少しずつ海に浸かる。なかなか冷たいな…ぶるりと震えた
🟥「⬜️っ‼︎何している?!ふざけるのも大概に…」
⬜️「ふざけてなんかいない、貴方の為、俺が死ぬ事で完成するんだ」
少しずつ身体を沈めていく
⬜️「かなり冷たいな…寒いし、早く🟥も帰ったほうがいい、鍵ならこれだ」
🟥にキーを投げる。
🟥「⬜️っ‼︎」
⬜️「…この半年間、まあまあ楽しかったぞ。…俺は貴方と過ごせて…これが永遠だと勘違いしてしまいそうだった。貴方を縛ってすまなかった、責任を、なんて言っていたが、別にもういいんだ。好きにしてくれていい、俺が貴方を縛る事はもうない。もう、悩まなくていい、十分貴方も…苦しんだだろう」
「貴方を……好きになって、すまない」
ああ、やっと全てを話せた。心晴れやかな気持ちのまま消えることができる。🦢、やっと…叶えられるよ、と海に向かう脚を止めない。
🟥「………ふざけるな‼︎‼︎」
大きな声で叫ぶのが聞こえる。
🟥「幸せ?解放だと?馬鹿にするのも大概にしろ‼︎慈悲のつもりか?神にでもなったつもりか?勝手に決めつけて行動して……私のことを考えずに何処まで私をコケにすれば………!おい!止まれ‼︎話を聞いているのか⁉︎」
⬜️の足が止まる様子がない、そのままの速度で進んでいく。
🟥「ちっ…‼︎ええい貴様がそのような考えなら私にも考えがある!…またネオジオンに戻り地球に隕石を落とす‼︎‼︎今ならまだ連絡がつくだろう、それかまた裏から画策して…貴様をそんな思考にしたのも地球のせいだ、粛清してやる‼︎多くの人類に犠牲になってもらう‼︎‼︎正義感の強い貴様なら…耐えられないだろう!」
⬜️「…俺の役割はもう終わったんだ。貴方を好きになった時点で……貴方がこれからは縛られず決めていいんだ。きっと、俺以外に止めてくれる人はいる。俺の代わりは…沢山いる。安心しろ」
そう言い返すとまた進んでいく。丁度太もも辺りになる。
🟥「なっ………‼︎貴様っ…私は本気だぞ‼︎おい‼︎⬜️……‼︎⬜️…………
い、い、いやだ、いやだ、そんな、⬜️、うそだ、おいていくな、いやだ………‼︎‼︎」
バシャバシャと追いかけてくる音が聞こえる。すぐに後ろから抱きしめられた。ガタガタと震えながらぎゅぅっ…と俺を離さない。突然の行動に唖然とした。振り向くと🟥が珍しくぼろぼろと泣いている。
🟥「いやだ、いやだ、許すものか、私から離れるな、いやだ、いやだ…………だったらわたしもしぬ、いまいっしょにしんでやる…………‼︎‼︎‼︎‼︎」
ぽたぽたと涙が肩にあたる。
⬜️「🟥………」
ああ、またこんなにも🟥を苦しめてしまったのか…と反省する。🟥は優しいからな。こうして俺でも引き留めてくれるのだろう、なんて申し訳ないことをした………とため息をついた。
⬜️「………………すまなかった、帰ろう」
こうして海から上がり車内の暖房を効かせる。まださっきの温もりが残っていて助かった、互いに濡れた足元を前に車に置いてあったタオルでふく。本当に冬の海は怖いな、と改めて思った。🟥はずっと泣いている。
…悪い事、しちゃったな。まさかの良かれと思ったことが…🟥に知られた時点で失敗していたんだ。
というか、アレじゃ確かに止めてくれないと死ぬぞ、と言ってるメンヘラ女に近かったな、幾つなんだ俺は。ダサいな…ちょっと恥ずかしいと照れていた。
この後寒いままではまずいな、と急いで車を走らせた。車道は空いていて行きよりも早く家に到着した。
「アムロ、シャア、オカエリ!ゲンキカ?」
ハロが俺たちを迎えてくれるとどうやら先に暖房をつけてくれていたみたいだ。…ああ、確かGPSって携帯と連携できて帰宅予測をして動く用に、その時ハロに俺がつけたんだっけ、それで🟥の奴持ってたのか…と納得した。
急いで未だにずっと泣いている🟥を暖房の近くに置き、毛布を出した。
⬜️「寒かったろ、先にシャワー浴びてくるか?」
🟥はずっとしくしく泣いたままである。そりゃ無理もないか、突然死ぬとか言われたもんな。意味わかんないよな。誰でもそういうふうに言われたらパニックになる。
⬜️「じゃ、先すぐに浴びてくるよ。車もあったかかったけど、ちゃんとあったまれよ。」
⬜️がすぐに暖かいシャワーで身体を清める。浴びている間、やはり逆効果だったか、これが近道だと思ったんだ、もっと会話が必要だな、…また自傷が増えるだろうか、折角元気になったが…
……これから、どうしよう………
不安を抱えつつあったまったので早めにシャワーを切り上げ🟥の元へ向かう。
すると戻ると🟥がリビングからいなくなっている。
⬜️「🟥…?シャワー空いたぞ、早く……」
違和感を持ちつつも🟥を目で探す。
すると後ろから突然口を塞がれた。どうやら何か含ませたハンカチのようだ。抵抗するが強い力で押さえ込まれてしまい、吸い込んでしまいすぐに気を失ってしまった。
目が覚めるとそこは🟥の寝室であった。はっ、とベットの外に動こうとするががしゃり、と何か違和感と音がした。
どうやら両腕に腕輪がついている。ベットと繋がれているようだった。
それと気がつくと…何故か全裸にされていた。明らかにおかしい状況についていけない。
するとドアが開き普段と変わらない🟥が入ってきた。
とても穏やかな笑顔でおはよう⬜️、と声かける。流石に恥ずかしいので胸と尻は手で隠した。
🟥「よく眠れたか?」
⬜️「🟥!こ、これは貴方が……」
🟥「?私以外にいないだろう」
⬜️「ど、どうして………まず服を返してくれ」
🟥「どうしてって、鈍いんだな」
そのままぎし、とベットに乗り込む🟥。そのまま⬜️を優しく押し倒した。
⬜️「うわっ!🟥!何を……!」
🟥「ああ、⬜️………」
そのままぎゅう、と抱きしめられる。状況とあまりの恥ずかしさにばたばたと抵抗するが押さえつけられてしまう。
🟥「⬜️、私が君をあれほどまでに追い詰めてしまったんだな。悪かった…しかし、今私と君の想いが同じな事をやっと確信したんだ。好きだ、⬜️。」
そのまま無理矢理キスされた。突然のことに思考が追いつかずー‼︎と抵抗するが離してくれない。やっと離れたあと
🟥「はぁ…最初からこうすればよかったな。ずっと私も不安だった。君を襲ってしまいたい衝動はずっとあったんだ。しかし…君に拒絶されてしまう、嫌われてしまうのが怖かった……私と一つになろう。」
⬜️はまた申し訳ない気持ちでいっぱいになった。昨日の俺の軽率な行動がここまで🟥を狂わせてしまうとは。
⬜️「ま、待てよ🟥‼︎今のお前はただパニックを起こしているだけだ!本当は俺にそんな気持ちなんてないだろう!落ち着いてくれ‼︎こんな事してもお前が後々苦しむだけで………」
🟥「いつでも私は冷静だが」
そういうと左手を掴まれ薬指をがりっ、と噛まれた。痛みに耐えられずぐぅっ、と唸る⬜️。離されたあとすり、と🟥は左手に頬擦りをした。
🟥「ふふふ、この左手の火傷も私がつけたもの、私のものという証だ、私から離れることはできない、許さない、もう私だけの⬜️だ。……今は薬指のこれだけだが、近いうちに一緒に指輪を買いに行こう」
狂気的な光景に圧倒されて何も言葉が出なくなってしまう⬜️。
🟥「………しかし、まだ私の想いを信じてくれないとは…まあいい、今から分かってもらえればいいんだ。時間は沢山ある。…愛し合おう、⬜️。」
こうしてヤンデレわからせミニ監禁ルートへ………
おしまい めちゃ長くなったわりにオチが弱くてごめんね!明日とかに何処かで付け足しはしようって思ってます!ごめん!ただ焦る🟥がみたいだけだったんだ…