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    🍠←🐳←🍁からの🍁🐳
    失恋🐳くん(🍠→🐳表現有り)

    恋人かっこかり「おれ、シライおじさんに告白してくる」
    「おー、行ってこい」
    「報告するから」
    「当たり前じゃろ。散々話聞いてやったのに何も言わんかったら殴る」

    アカバのからかい混じりの言葉にクロノは緊張が解れたようで少し笑った。
    バタンと部屋の扉が閉まる。クロノの足音が遠ざかり、聞こえなくなった時アカバは深く重いため息を吐いた。

    「やぁっと諦めがつくわい」

    アカバはクロノが好きだ。好きだからクロノがシライを好きな事にも気付いた。自覚して早々失恋が判明した時は凹んだが、相手は尊敬してやまないシライ。
    見る目があるじゃないか、とアカバは自分の恋心を封印する事を決めた。これでシライ以外の誰かだったらクロノを振り向かせる為に色々画策していたと思う。
    クロノはcase.999を攻略して心に余裕が出来た事で自分の恋心を自覚したらしい。ある日「どうしたらいいと思う」と相談された時は流石に脳内が修羅場だったが。
    なんだかんだアカバはクロノの相談を聞いていた。クロノの顔が今まで見た事ないくらい穏やかで可愛かったから、それを一番近くで見れるだけで十分だった。叶うなら自分だけにそれを向けて欲しかったが、そんな考えが浮上しかけるたびに自分に言い聞かせてきた。

    それも、今日でもう終わり。クロノの告白はきっと上手くいく。
    アカバはクロノからの交際報告を待つまで、クロノときっと着いてくるだろうシライの好きな物を買いに部屋を出た。

    泣きたくなるくらい痛む心臓に気付かないふりをして。

    **

    「…は?」
    「だから、振られた」

    アカバが買い物から帰って直ぐ、クロノが戻ってきた。…泣きそうな顔で。
    まさかと思い、アカバは急いでクロノを部屋に入れる。アカバが口を開くより先にクロノから「振られた」と聞かされた。アカバは理解が出来なかった。だって、両想いじゃなかったのか。自分の勘違いだったかとも考えたが、思い出すクロノを見るシライの目はどう見てもそうだったはずで。
    疑問で脳内が埋め尽くされかけたが、クロノが声を震わせて話し出したことで意識をクロノに向ける。

    「ありえない…って、しんじ、られないもの、見るっ目で、」
    「…おう」
    「おじさんのっあんな顔…初めて、見、て」
    「そうか」
    「おれ、ヒック、逃げて、おれ…アカバ、ふ、うっ…ぐうぅぅ…」
    「クロノ、無理に喋るな。呼吸整えろ。過呼吸になるぞ」

    ボロボロと大粒の涙を両眼から零すクロノが見てられなくて、アカバは喋るのを止めさせる。
    ちょっと座って待ってろ、と言ってアカバはタオルを掴んで部屋を出た。
    軽く水気を残して自室へ戻ると、クロノは乱暴に涙を拭っていたので「これ使え」と言いタオルを押し付けるように渡す。クロノは小さく「ありがとう」と言うとタオルを目に当てた。
    そんなクロノを見て、アカバは一つ息を吐いた。座布団が無くて良かった。三人分の座布団を用意してしまっていたらクロノは余計辛くなっただろうから。
    アカバはテーブルに自分とクロノの分として買ってきたお菓子と飲み物を置く。シライの分は気付かれないように袋に入れたままテーブル下に隠した。目をタオルで覆っていたクロノも物音に疑問を抱いたらしく、顔を上げる。テーブル上のお菓子に目を丸くしてアカバを見上げる。
    アカバは肩を竦めてお菓子と飲み物に口をつけると、クロノも鼻を鳴らしながらノロノロと手を伸ばした。

    「…ごめん」
    「何がじゃ」
    「アカバ応援してくれてたのに。それに、失恋で泣くなんて情けない、よな」
    「情けなくなんかないぞ。泣くほど本気だったんじゃろ」
    「…ありがとう」

    暫く咀嚼音と嚥下する音が静かな部屋に木霊する。はっきり言って、アカバは驚いていた。シライが振った事もだが、クロノが泣いた事が何よりの驚きだった。振られたとしても、直ぐ切り替えるか諦めずにシライにアプローチするものだと思っていたからだ。

    (どんな振り方したんじゃ、シライさん)

    気にはなるが、クロノの泣く顔はもう見たくない。アカバから尋ねるのは止めた。
    大方食べ終えた時、クロノは重い口を開けた。

    「…勘違いだって、言われた」
    「本気だって言ったのに、刷り込みみたいなものだって」
    「そんなんじゃないって、好きだって言ったら、いい加減にしろって…言われた」

    絶句。
    もう少しマシな断り方は無かったのか。クロノは不安気にアカバを見つめる。

    「なぁアカバ。勘違いだったのかな」
    「勘違いじゃない」

    即答だった。殆ど反射のようなものだったのかもしれない。それでも、キッパリと言い切ったアカバに、クロノは目を丸くしてから泣きそうな顔で笑った。

    **

    翌朝、クロノはアカバのベッドで目を覚ました。無意識でいつもスマホンが寝ている引き出しに目を向ける。スマホンの姿がなくて驚いたが、直ぐにアカバの部屋だったと思い出した。

    (おれあの後寝ちゃったんだ)

    起こさず泊まらせてくれたらしい。
    優しいな、と独り言ちるとアカバの姿を探した。朝食を食べに行ったのだろうかと考えていると、引き出し上にメモが置いてあることに気付いた。

    『クロノへ。今日の任務わしと交代になったからお前は休みじゃ。ここに居るなり部屋に戻るなり好きにしていい。行ってくる。アカバ』

    「…気を遣ってくれた、よなぁ。これは…」

    昨日の今日でシライに会うのは気まずい。申し訳ないがアカバの優しさに甘える事にした。
    とりあえず一度部屋に戻ってスマホンに挨拶してこよう、とクロノはアカバの部屋を出る。

    自室を開けた瞬間、一日何の連絡もなく帰らなかった自分を心配していた相棒の半泣きの合成音声が廊下に響き渡った。

    **

    任務を終えたアカバは、報告書を提出するために扉をノックする。いつもと変わらないシライからの返事を聞いてから扉を開けた。

    「シライさん、これ報告書です」
    「おう。アカバ、お疲れさん」

    目線を手元の書類に向けたまま、シライは報告書を預かろうとする。しかしアカバががっしり掴んでいるせいで受け取れない。無理に引っ張ったら破れることは明らかで、シライはそこでやっと顔を上げた。

    「どうした」
    「聞かないんですね」
    「何を」
    「アイツのこと」

    シライがよく見るアカバは尊敬の念を全面に出して明るく笑っている姿だった。今、目の前で淡々と無表情で話している姿とかけ離れている。驚くより先に「アイツ」と言う言葉に一瞬眉を顰めたが、直ぐに表情を戻す。

    「お前らが休み交代したことはとっくに把握してる。何を聞くんだよ」
    「経緯とか聞かんのですか」
    「プライベートなことに首を突っ込んだりしねぇよ」
    「そうですか」

    アカバは報告書を掴んでいた手を離す。シライは報告書を手元に持ってきて、不備が無いか確認し始めた。シライは隣で浮遊しているクロホンの不思議そうな視線を無視する。昨日のことをクロホンには言っていない。深夜にアカバとクロノの休みの交代要請の連絡を受けた時も体調不良かと心配していた。

    「…ん、不備はねぇな。次の任務は五時間後だ。それまで休んどけ」
    「はい。失礼します」

    アカバがノブをひねる音が聞こえる。シライが報告書を纏めようと視線を外すと、アカバは振り返ることなく話しかけてきた。

    「貰いますんで」

    シライが顔を上げるより早く、アカバは退室した。無言で閉じた扉を見つめるシライと、アカバの言葉の真意が分からず機体を傾かせているクロホンだけが部屋に残った。

    ***

    自販機で何か飲み物でも買おうかと廊下を歩いていると、前からレモンがやってきた。

    「アカバ」
    「よぉ、アンドロイド。何か用か?」
    「クロノの様子はどう?」
    「…何じゃ、急に」
    「昨日見かけたの。クロノは気付いてなかったけど」

    泣きそうな顔してたから、心配だった。
    そう続けるレモンに、アカバはなんとも言えない気持ちになる。シライから、クロノの事について何か聞いてくるんじゃないかと思っていた。振った本人とはいえ、昨日のクロノの姿が見ていられないくらいだったから。
    結果、何も言ってこなかった。何となくだが昨日の事を無かった事にしているのだと気付き、苛立った。

    「アカバ?大丈夫?」
    「ん、あぁ、すまんの。クロノは任務…てか、シライさんに会いたくないだろうと思って勝手に交代したんじゃ。多分、自分の部屋にいると思うぞ」
    「そう。告白はしなかったの?」
    「……は」
    「アカバはクロノのこと好きでしょ?」

    こてん、と首を傾げるレモン。何を当たり前なことを、と言いたげだった。アカバはレモンを凝視する。いつから気付いていたのだろうか。

    「…いつからじゃ」
    「さぁ?アカバは意外と隠し事が上手いのね」
    「一言余計じゃ。クロノには言ったんか」
    「言ってない。勝手に言うものではないでしょ。クロノは気付いてないみたいだったけど、だからこそ残酷ね。アカバにシライのこと相談するなんて」

    どうやら全部知っているらしい。アカバは思わず舌打ちをする。レモンは、クロノの想いもアカバの想いにも気付いていた。気付いた上で何も言わないでくれていた。

    「…そういや、昨日見た言うとったな」
    「うん。シライに告白したところだった」
    「随分なタイミングじゃな」
    「偶然」

    「子どもは有り得ないそうよ」

    恋愛対象として見れない、じゃ駄目だったのかしら。
    続くレモンの言葉にアカバは考え込んだ。昨夜から、ずっと考えていたのだ。チャンスかもしれない、と。

    「…アンドロイド」
    「なに?」
    「振られて傷心中のやつに告ったら慰めだと思われるか」
    「どうかしら。人によるんじゃない?ただ、今のクロノには全部伝えた方がいいでしょうね」
    「そうじゃな。…クロノの所行ってくる」
    「行ってらっしゃい。アカバまでクロノを泣かせたらわたしがクロノを惚れさせるから」
    「絶対やらん!!」

    ダダッとアカバは寮に繋がる廊下へ全速力で駆け出す。驚いた巻戻士達の声が聞こえてくるが、アカバはそのまま駆けて行ったようだ。
    残されたレモンは昨日の出来事を静かにメモリから再生させた。クロノが走り去ったタイミングで意識を今に浮上させる。

    「…難しいのね、恋愛って。まだ学習データ不足だわ」

    **

    アカバはクロノの部屋の扉をノックしてドアノブを手にかける。鍵が掛かっていたために、首を傾げる。どこに行ったのだろうかと考えていると、自室の扉が開きクロノとスマホンが現れた。

    「アカバ、おかえり。任務は終わったのか?」
    「待機じゃ。四時間後に次の任務に向かう」
    「そうか。すまん、おれのせいで」
    「何でお前のせいになるんじゃ。わしが勝手にやったんじゃ、気にするな」
    「…ありがとう」

    不格好に口角を上げるクロノ。起きた時にも確認したが、目が腫れていないことに改めて安堵した。すぅ、と深呼吸する。

    「なぁクロノ。わしにせんか?」
    「……なにを?」
    「恋人。もちろんお前がまだあの人を好きなのも分かっとる。だから、あの人に危機感持たせるのもえぇじゃろ」
    「危機感って?」
    「お前があの人以外の誰かを好きになるっちゅー危機感」
    「…アカバはそれで良いのか?好きな人とか…。前告白されてたよな?」
    「何じゃ、見とったんか。気にするな、恋人は居らんし。好きなヤツも、まぁ、失恋しとるしの」

    視線を彷徨わせるクロノ。スマホンはギョッとしてクロノとアカバの顔を交互に見ている。クロノは今、不安定だ。畳み掛けるなら今しかない。

    「まぁ、お前があの人と結ばれた時のことを考えると大っぴらに言わん方がえぇな。もし聞かれたら曖昧に返しとけ」

    散々好きな人の好きな人語りに付き合ったのだ。恋人ごっこを提案したとて、罰は当たらないだろう。恋人ごっこ中に此方に振り向いて欲しい気持ちもあるが、望み薄だ。
    そんなことを内心でつらつら考えているアカバの心情に気付くことなく、クロノは暫く「いや」とか「でも」とか呟いていたが、最終的に首を縦に振った。

    「なんでアカバはそこまでしてくれるんだ?」
    「あ〜…。別にいいじゃろ、気まぐれじゃ」
    「…」
    「無言で睨むな。クロノだからやっとる、以上!ほら、色々決めるぞ」
    「おれだから?…決めるって、何を?」
    「恋人(仮)はお前どこまで許容出来る?わしとどこまでなら問題ないんじゃ?」
    「え、え?」
    「手を繋ぐのは平気か?ハグは?キス…は出来ないよな。擦り合わせせんと、お前すぐボロでるじゃろ」
    「そうかもしれん。スマホン、手伝ってくれ」
    「何でぼくに話振るんですか?!」

    **


    「お前マジでクロノと付き合ってんの」

    来た、と思った。
    アカバはクロノと恋人ごっこを始めてから、時間が合えばクロノと『恋人』をしていた。時間が合わなくても、出来る限りクロノと一緒に居るようになった。
    友人達に付き合い始めたのか聞かれた時はお互い適当に返事してきた。因みにレモンにはクロノが素直に話していた。レモンには嘘をつきたくなかったらしい。後からレモンに本当にそれで良かったのかと聞かれたが覚悟の上じゃ、と言えば以降言及されることは無かった。

    そうして、半年。とうとうシライが聞いてきた。心臓が一度大きく跳ねる。平常心を装って返事をした。

    「さぁ、どうでしょうか」
    「随分曖昧に答えるんだな」
    「どっちにしろシライさんには関係ないことでしょう。クロノを振ったんですから」

    誰かのものになって惜しくなったのか。
    ずっとクロノの一番は自分だと思っていたのか。
    シライの心情をアカバは推し量れない。

    ただ、この『恋人ごっこ』が終わる予感がした。

    **

    「ちょっとシライおじさんに会ってくる。部屋で待っててくれ」

    あぁ、やっぱり。自分の勘はよく当たるのだ。


    アカバはぼうっとクロノの部屋に居た。明日は二人とも休みだから夜更かししようと話していた。任務を終えてクロノの部屋に行ったら先程の発言だ。覚悟はしていたが、まさか約束を後回しにされると思わなかった。

    (…ま、初恋を優先するわな)

    恐らくシライに呼ばれたのだろう。さて自分はクロノが戻るまで何をしていようか。話し相手になりそうなスマホンは点検だとかで居ない。元々クロノとアカバを気遣って今日の任務後に点検を入れてくれたのだが、今はその事実が酷く虚しい。

    手は繋いだ。ハグもした。色んな所にデートした。添い寝だってした。
    思い出としては、十分だと思うことにしよう。キス以上の恋人らしいことはしてない。あくまで恋人(仮)の関係なのだから。
    泣け叫びたくなる衝動を必死に抑える。クロノがさっさと部屋を出ていってくれて良かった。長居されたら、きっと全部言ってしまうと確信していたから。

    「きっついのぉ」
    「何がだ?」

    一人言に返事がきたことに驚き、「のわぁぁぁ!?!」と叫んでしまった。慌てて扉の方に視線を走らせると、案の定クロノが立っていた。

    「クロ、おま、いつ戻っとったんじゃ!!」
    「何で怒られたんだおれ…。さっきだよ」

    物思いにふけり過ぎたらしい。クロノが扉を開けた音にすら気付かなかった。驚きで大きく跳ねる心臓を胸部越しに抑える。クロノはマイペースにアカバの前に来て座った。

    「アカバ。おれ恋人ごっこ止めたい」
    「……」

    ─ほら、覚悟はしていただろう。さっさと了承しろ。クロノに「おめでとう」って、「良かったな」って言え。

    頭では分かってる。でも喉が引き攣って言葉が出ない。
    そんなアカバを置いて、クロノは話し続ける。

    「アカバがおれのために提案してくれたのは分かってる。でも、おれ恋人ごっこじゃ…恋人(仮)の関係じゃ満足出来なくなった」

    は?

    「さっきシライおじさんに、好きじゃなくなったから、師弟関係継続させて欲しいって言ってきた。半年前からおれ少し距離とってたけど、ずっとそうしてたら駄目だと思って」

    ちょっと待て。

    「なぁアカバ。おれアカバが好き。別に代わりだなんて思ってないよ。ただ、考えてたんだ。アカバに好きな人が出来た時、ちゃんと親友に戻れるかって。アカバがこの半年でおれにしてくれたこと、おれ以外の奴にしてくるの見たくなかった。それで、」
    「ちょっと待て、一旦整理させろ!」
    「分かった」

    都合のいい展開に慌てて制止させる。クロノは素直に口を噤んだ。
    いつもこっちの意見も聞かずに我を通すくせに、何故今大人しく言うことを聞くのか。

    「……クロノ。お前、いつからじゃ」
    「分からん。気付いたら好きだった」
    「ふぅん。まぁ、わしもそうだったしの」
    「そう言えばアカバ失恋したって、相手誰だ?」
    「何で今このタイミングで聞くんじゃ?!だー、もう!お前じゃ、お前!」
    「……へ?」

    クロノはキョトンとしていたが、アカバの言葉を遅ばせながら理解したらしい。
    赤くなったからと思えば、青ざめた。

    「ご、ごめんアカバ。おれシライおじさんのこと話して…!」
    「そんな気にせんでも良い。話をしている時のクロノの顔見るの好きじゃったし」

    好き、という言葉にクロノは再び顔を赤らめる。先程散々好きと言っていたのに、言われると照れるらしい。

    「つか、お前、わしが親切心だけでこの関係持ちかけたと思っとるんか?」
    「え?」
    「下心あったぞ。失恋しとったから、わしにもチャンスあるかもと思ったんじゃ。振り向いてくれたらなんて、ずっと思っとった」
    「え、あ」

    アカバは頬を赤らめたままわたわたとしているクロノを見つめる。大きく息を吸って吐いた後、立ち上がりクロノの手を掴んだ。クロノの視線が咄嗟に手に移動する。
    アカバは「クロノ」と呼び、顔を上げさせた。目が合った。

    「あん時はくっそかっこ悪い告白したからな。やり直しさせろ」

    「クロノが好きじゃ。わしと本当の恋人になってくれんか」

    クロノはアカバの髪色にも負けないくらい顔を真っ赤に染めて頷いた。それを確認したアカバは掴んでいた手を離し、溢れる衝動のままにずっと恋焦がれていた【恋人】を腕の中に閉じ込めた。
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