永遠の約束リオセスリはパレ・メルモニアのヌヴィレットの執務室に続く扉の前で立ち竦んでいた。
時は夕方、珍しく職員の居ないその場でドアをノックしようと手を伸ばしては胸元へ戻す。そんな動きを繰り返す彼の手には、小さな紙袋が握られている。
どうやら目の前の部屋の主への贈り物らしい。が、いつもの彼らしくなく一歩踏み出すのを戸惑っているようだ。
(別に、今日渡さなくてもいいんじゃないか?)
そんな甘言がリオセスリの脳内に広がる。
柄にもなく贈り物を用意してみたはいいが、改まって渡すのは気恥ずかしい。
かり。と頬を指で掻き、足の向きを変えその場を後にしようとする。
しかし、音もなく開いた扉から腕が伸び、背を向けていたリオセスリの上着を鷲掴み引き寄せた。
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