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    #鯉月
    Koito/Tsukishima

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    可塑chang

    DOODLE【死ネタ】鯉月が早々別離となり数十年後、鯉ちゃんが亡くなってる壮年の話。残された家族の夕べ(鯉月の二人は一度も出てきません)盛大な父の葬儀が終わり、やっと喪があけた頃。あの頃よりもほっそりとした母と静けさの目立つ居間で、庭木を見ながらお茶を飲んでいた。父が亡くなったのは快晴の春。冬の灰色からは想像もつかないような青の目立つ空の日だった。
    小池を臨む縁側は光溢れ、空の青も葉の緑も濃く、初夏の足音がする。眩い生命の庭の片隅では、大輪の白い芍薬が顔を綻ばせている。どこぞの梢でコルリがチヨイチヨイと高く鳴き、夏が来るぞと言っているようだった。まるで父の如き騒がしさだ。
    「○○ちゃん」
    母が私を呼んだ。
    「なあに母様」
    「わたし、あの人に愛されていたのかしら」
    何を言うのだろう。あれほどまでに分かりやすい愛を向ける男など、今日日父くらいしか私は知らない。陸軍将校であり、閣下と呼ばれ、厳格で忠実なあの人が、顔を綻ばせ帰ってくるのを、十数年は見てきた。
    「……どうしてそう思うの?」
    「さあ…何でかしらね……寂しいのかしら、私」
    「父様は騒がしい人だったものね。急に静かになっちゃって、きっと耳が驚いているのよ。こんなに静かなの久しぶりだって」
    「そうね……そうだといいわね」
    浅く笑う母は綺麗だ。華奢な指先、桜貝の如き爪、白 2288

    suzumi_cuke

    TRAINING本誌306・307話のセリフや描写がバリバリ出てきます。ネタバレと自己解釈全開で書いた。主に少尉目線で、軍曹を助けようと奮闘している鯉月?の話。今しか書けないだろうなあと思ったので…大事なのは勢い…(自分に言い聞かせてる)(本誌近くて気持ち悪くなってる)
    306→307話の行間 無鉄砲が救うもの 続く車両のドアを開けた瞬間、眼に飛び込んできた光景に鯉登は総毛立った。
     巨漢に掴みかかった月島が、掲げた左手を今にも振り下ろそうとしている。その手の中には手投弾があった。
     ――月島は死ぬ気だ。

     考えるより先に身体が動いていた。声が出ていた。
    「月島ッ」
     呼び声に月島が顔を上げる。視線が鯉登の顔を捉えた。険しかった月島の表情が一瞬はっと驚愕を示したあと、さらにその険しさを増した。
    「来るなッ」
    「よせ月島ッ」
     叫びながら鯉登は駆け寄ろうとした。
     馬鹿馬鹿、なんて馬鹿な奴だ。そんなことをしたらお前も死んでしまうではないか。手投弾の威力は、お前ならよくわかっているだろうに。
     ――いや、一番の馬鹿は私だ。
     月島は鶴見中尉殿のためなら死ねる。どれほど危ないことでも、どれほど汚いことでも、己の心を殺してやり遂げる。己を顧みようとしない。そういう男だと、わかっていたはずじゃないか。わかっていたのに。
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