no titleシャワールームの扉を開けた瞬間湿り気と共に解放されたようにそれはふわっと香った。
「……………」
それを感じながらQは室内を無意識に見回す。
程なくして香りの出どころを見付けた。
カウンターに置かれた備え付けのボトル達の横に見慣れないソープディッシュに乗せられた青みが強い水色の石鹸。
しかし、昨日シャワールームに入った時はこんな物はなかったはずだがとQは首を傾げた。
石鹸を見れば新品だ。
誰かを彷彿とさせるような色合いの石鹸は存在感を強く感じる。
『ちょっといい買い物があったんだ。
いい香りがしてさ』
数日前、少し嬉しそうな馴染み深い声がQの脳裏を過る。
きっとこれを指しているのだろうとすぐにわかった。
しかし何故それがここに?
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