地位も名声も、お金も容姿ももっている恋人ですので。
まぁ、知識欲というマッドな性分を考えると±ゼロなのかもしれないけれど
とは言え、最近ではそのマッドな性分ですら可愛く思えちゃうんだもん。
(痘痕もえくぼとはよく言ったものだね)
先人たちの知恵は正しかったと思い知らされることになったりね。
閑話休題
とは言え、本当に持っている側の妖怪ではあるので、誕生日プレゼント一つを選ぶのも困ってしまう。
親友の飯綱君にそれとなく恋人へのプレゼントのサーチを行えば『あ~あのマッドだったらお前がくれるもんならなんでも喜びそうだけどな。』この前なんてお前が上げた数か月前ののど飴眺めながら笑ってたし、なんていう照れればいいのかドン引きすればいいのか分からない情報をくれるし。
凜太郎君に聞いてみれば『独り身の僕がアドバイスなんてできへんねん。』というか僕はまだ君とアレが付き合うとるの認めてへんからな。なんていうし。
そのほか山崎さんや学園長、果ては隊長さんにもそれとなく聴けども
まあ大体が「君が上げたものならゴミでも喜ぶよ」やら「いっそプレゼントは僕、をしちゃったら」らしい・・
いや、流石に誕生日にごみや僕をプレゼントされたら、いくら明くんだって微妙な感じになると思うんだけどなぁ~~~。
(余談だけど、流石に歌川さんには聞けないし、聞かなかったよ。)
そんな煩悶する日々に、携帯に届いた明君から「今日、会えない?」なんてお誘い。
久々に会えるタイミング
しかも僕の恋人は多忙だから、これを逃したら次に会えるのは下手をしたら月を跨いじゃう可能性だって多分にあるから。
だから仕事終わりにいそいそと向かったたかはし宅(一軒家というには豪奢な家である。何回来てもちょっと驚く)の、その明君の部屋に入ってまったりと逢瀬を楽しんでいた時にひらめいた。
ふふ。ふふ。と僕を後ろからバックハグしては楽しそうに耳やら首筋に唇を押し当てる恋人。
ソレに「随分楽しそうだね」と言えば
「えへへ。だってさぁ、15日と7時間10分ぶりのお兄さんを堪能できるんだもん。楽しくない訳ないよ」
「・・そっか」
よくよく考えると結構なことを言われている気がするけど、まあいいや。
「おにいさんは?いや?」
「嫌じゃないよ」
嫌じゃないし、なんなら君が喜んでくれるのは嬉しいし。
整った顔の、その頬を赤く染めて、潤む瞳も、上がった口角も、もっともっとがあるとしたら見たいと思うのだって当然だよね?
だから
(・・・あ、誕生日プレゼント欲しいものを聞いちゃおう)なんて。
恋人によっては、プレゼント一つ思いつかない恋人だと詰られてしまいそうなコトを思いついてしまったんだし、止められなかったんだもん。
「ねぇ。明君」
「ん~~~なぁに、晴明さん」
「えっとね・・・えっと・・誕生日プレゼント、何がいい?」
ちゅちゅと、落とされる唇がやんで静寂に包まれた数秒あとには
「・・・何でもいいの?」
「流石に解剖とかはダメだけどね」
「お兄さんを解剖するわけないよ」
食い気味に解剖は否定されたから、うんじゃあ憂うことは、ない、かな?
きっと多分。
「じゃあ、大丈夫、だと思うよ」
後ろにいる明君の頭を安心していいよと撫でてあげれば
また少しだけ間があいた後で
最愛の恋人が言った
「誕生日プレゼントは、新婚さんごっこがしたいな、」なんて
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