とある彼女のレポート綺麗に磨かれ整えられた爪の乗る親指が赤いボタンを押す。
ピッ、という音と共に録音がスタートされた。ため息ばかりが出て「うぅん……」「えっと…」と数秒口籠った後、やっと言葉を紡ぎだした。
『何から話したらいいのかしら……私は……いえ、私のことなんかどうでもいいわね……大学に通う普通の女子生徒よ。具体的な場所や名前は伏せるわ。……友人と、そのパートナーの話をしたいの。彼とは……そうね……「ペッシ」。友人をそう呼ぶわ。最後に自分でそう名乗っていたから……パートナーの彼は……何だったかしら………ええと…そう、「プロシュート」さんよ。……フフ、何だか暗号みたいね……』
そして彼女は友人である『ペッシ』との出会いから順を追って話し始めた。
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