まさか自分が生まれ変われるなんて思わなかった
過去に様々な世界を渡ったけれども、知り合いの同一人物を多々見てきたが自分の姿は1度たりとも見たことがなかったのだから。
自分はボスのためだけに存在する者だとばかり思っていた。
それともこの世界にボスがいるのだろうか。だから自分は再び生を受けたのだろうか。
そう思ってこの世界のアルバを探した。魔法も使えない世界だから苦労したが、探して十数年で見つけることが出来た。
ボスじゃない。
どこにでもいるようなアルバだった。
それはそうだ。だってあの体験があったからこそボスはオレを生んだんだ。あの体験を覚えていなければそれはボスでは無い。もしたとえそれがボスだとしても記憶がなければガワが同じだけの別物だ。
じゃあ、
あのアルバにボスの記憶を植え付けたらボスになるのだろうか。
考えも思考も記憶も全部上書きして、今の中身を全て入れ替えて、そうすればまたボスに会えるだろうか。
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アルバと交流するようになってから数年経った。
どこにでもいるようなアルバとは思ったが、やはり世界が違えばその個体の特徴的なところが見えてくる。
このアルバは平均的な者よりも積極性が高いように見える。
よく言えばいい子ちゃんばかりのアルバは誰かしらに振り回されたり損な役目を押し付けらることが多いが内面的には我が強い。しかしこのアルバはその我の強さが表面上にも出ている。誰かに振り回されるよりも振り回すことが多く積極的に人助けをし、助けられた者はひどくアルバを慕う。
その姿に懐かしい面影が重なる。
でもボスとは違って心の底から楽しそうに笑うやつだった。
それは前世でオレが望んでた姿がだった。