別れのスケルツォ多分、もうお互い限界だったんだと思う。親友の延長線上で、真面目という自覚のある自分にしては意外な話だが、付き合ったのは流れのようなものだった。お互いの親族以外の誰にも言ってなかったから、近所の人なんかがお見合い写真を渡してくることも多々あったし、断りをいれれば「良い年になってきたんだからそろそろ結婚しないと、お家のこともあるでしょう?兄弟が多いって言ったって、炭治郎ちゃんが長男じゃないの。そろそろお母さんを安心させてあげなさいよ」なんて、なんて事のないように言われて。そんなのが日常茶飯事だった。自分は好きだけれど、相手は愛情を頻繁に伝えてくるような人間ではなかったから、一方通行の思いなんて安っぽいラブソングでやけに心が痛んだ。
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