idola1(綾人蛍)equal
パキン、と固い金属音が室内に響く。
音を立てて壊れた銀の輪は、無機質に、重力に逆らうことなく床へと転がり落ちた。
それは、枷だ。自らの首に嵌められていたそれは、逃げられないようにとこの優しく歪な鳥籠に閉じ込めるために付けられていた。突然壊されたそれを、少女は呆然と眺めることしかできない。目の前に立つ淡い水色の髪を持つ男性は静かに愛刀を携えていたが、宙へ手放すと刀は虚空へ光となって消える。
銀の輪は彼によって破壊された。彼に、付けられたのに。
「……これで、貴方は自由です」
彼女を見つめる瑠璃色の瞳には葛藤と執着と、隠し切れない情が見えている気がして。
この人の瞳は、こんなにも感情がわかりやすかっただろうか、と呆然とした思考のまま少女は思う。
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