シャリアはキスが好きだ。それに気付いたのは明確にお付き合いを始めてひと月も経たない頃で、察しが良くない自覚のあるエグザベですら分かったのだからそれなりだろう。人目のある場所ではエグザベを懸想する様子など見せないくせに、ふたりの家に帰ると事あるごとに口付けられるのだ。
挨拶のような軽いものから深く舌を絡ませ合うものまで、数えきれないほど与えられてきた。互いの皮膚に触れ合う時、シャリアは心を開いてエグザベに好きだと伝えてくれるので、エグザベもシャリアとのキスが好きだ。年上の、余裕に満ちた大人がひたむきに好きだと柔らかい愛情を示してくれるのは、エグザベをどうしようもない気持ちにさせる。好きだなあと思う。きっとそれはシャリアにも伝わっていて、口付けの後にふわりと幸せそうに目尻を下げる様に、また好きだと思う。
1128