おまえに愛される権利がある 長時間の飛行で心底くたびれて、たらふく食べたら眠っていた。厄災の傷は時折役立つが、基本的にはやはり厄介極まりない。今回も随分と辺鄙な場所まで飛ばされた。
皿を空にした直後にはテーブルに突っ伏した。目を瞑ったのは早かったが、即座に意識が飛んだわけではない。まだ微かに意識があったとき、ブラッドリーの耳はところどころ聞き逃しながらも、それなりに音を拾った。
起こさないよう慎重に食器を下げ、遠ざかる足音。焼き立てのアップルパイを嬉しそうに頬張っていた幼い魔法使い二人と賢者が、声のボリュームを落としてひそひそと交わす他愛ない会話。なんの話だこれは。童話? 眠りの底に沈みかけていて、内容が途切れ途切れにしか届かない。
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