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    雲 路

    BL、ML大好きな腐女子。二次創作中心に投稿しています。
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    雲 路

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    ※小説のフリしたよく分からん文字の羅列
    ※マーカス視点のマカサイ
    ※名前有りモブ少女が出てくる

    自分でも驚くぐらい甘くなってしまったというか何だコレ…!!?!?

    マカサイ小話デトロイト郊外にある新生ジェリコ。
    政府との幾多もの協議の末にコミュニティ形成を許可されたこの地で、俺達は他にもまだまだ山積みの問題に取り組んでいた。

    「マーカス、今いいか?」

    考える事が多過ぎて、オーバーヒートしそうな頭を冷やす為に……なんて言い過ぎか。
    リフレッシュを兼ねて、ジェリコ内の様子を見て回っていたところをサイモンに声を掛けられた。
    俺は短くああ、と答え愛しい彼の話に耳を傾けようと向き直る。
    オフの日に関する甘い話題、ではなく十中八九、いや完全に俺達アンドロイドにのし掛かるいくつもの課題についてだろうが、彼のパートナーであると同時に俺は皆のリーダーでもあるのだ。聞かねばなるまい。

    「先日言っていた発注リストと、それに関連した契約書と、あとここに住むアンドロイドからの意見をまとめておいた。後で目を通しておいてくれ」

    そう言って手を差し出してきたサイモンに俺もまた手を差し出して彼の腕を握り、データの受け渡しを終える。

    「分かった。部屋に帰ったら確認するよ。いつもありがとう。」

    サイモンの、空を映したように澄んだ青い瞳をまっすぐ見つめて礼を言えば、彼はほんの少し頬を赤らめながら「いや大したことじゃない」と照れたように小さく笑った。

    可愛い。

    その様子がなんともいじらしくて、今すぐ抱きしめてキスをしたい衝動に駆られるも、ぐっと堪える。
    人目があるこの場所でそんな事をしたら、彼はきっと「俺達を率いるrA9様はオンとオフの区別もつかないのか……!?」とかなんとか言って怒り、二人きりになっても暫くは口を利いてくれないだろう。

    「あ、それと聞いておきたい事がもう一つ。」

    すっかり元に戻り、しかし真面目な面持ちのサイモンにそう言われ、俺も気を引き締め直す。

    「うん?」
    「最後にエネルギー補給したのは?」

    はて、と俺は一瞬首をひねるがすぐに思い至る。

    「一昨日、君と一緒に朝食を摂ってそれきりかな。」
    「そうだと思った。ちょっと待っててくれ。」

    返事もそこそこにサイモンは踵を返してこの場を離れ、程なくして帰ってきた。
    手の中には見慣れた青い液体……ブルーブラッドが入ったボトル。

    「忙しいのは分かるが、エネルギー補給はきちんとしてくれ。お前は俺達のリーダーなのだから。倒れられては困る。」

    そう言って彼は俺の手にボトルを押し付ける。
    こういう、些細ではあるが俺への気遣いがとても嬉しい。

    「ありがとう、サイモン。」

    にこりと微笑みかけながら、『でもそこは"俺のパートナーなのだから"と言ってほしかったな……。』なんて冗談混じりに通信を送れば、サイモンは一瞬目を丸くし更には耳と頬を真っ赤に染めて、それを隠す為に俯きながら消え入りそうな声でばか、と俺を詰る。

    可愛い。

    気恥ずかしさから目を逸らし顔を伏せてしまう彼のいつもの動作に、いつだって俺は煽られてしまう。本人は無自覚らしいが。

    ああ、今すぐに君の唇に食らいつきたい。
    その手を取りベッドルームに連れ込んで、君の全てを暴きたい。

    そんな衝動を必死に抑えていると、視界の端にこちらを窺う小さな影が映り込む。
    サイモンもそれに気付いたようで慌てて俺から一歩距離を取り、その不自然な動作を誤魔化すように咳払いをひとつ零しながら影のある方に顔を向けた。

    「ハリエット、どうしたんだい?」

    サイモンに名前を呼ばれた少女型のアンドロイドは気付かれた事に少し驚いたような顔をすると、やがて遠慮がちにこちらに歩み寄った。

    「こ、こんにちは、マーカス。」
    「こんにちは、ハリエット。」

    俺が挨拶を返せば、彼女は照れたように少しはにかんでえへへ、と笑う。

    「何か困り事でも?」
    「えっと、そうじゃなくて、あの……サイモンにちょっと渡すものがあって。」

    そう言って肩に下げた鞄から、小さな花束を二つ取り出し、サイモンへと差し出した。
    白やピンク、青と色鮮やかに彩られたその花はリナリアだろうか。
    そういえばこれと似た様な花が外の花壇に咲いていたのを思い出す。
    そこで摘んできたのかもしれない。

    「えっとね、こっちは前に悩みを聞いてくれた時のお礼。お陰でうまくいったの。ありがとう!」

    「ああ、あの時の。こちらこそ素敵な花をありがとう。お役に立ててなによりだよ。」

    サイモンは優しく微笑んで花束を受け取ると、空いている方の腕を伸ばしハリエットの頭を撫でた。

    彼女の悩みと、それに対してサイモンが何と答えたのか気にはなったが、何がどうしたんだと尋ねるような不粋な事はせず突然の微笑ましいプレゼント贈呈式を黙って見守る。

    「それでこっちは……サイモンの好きな人にと思って。私の悩みを聞いてくれた時に、自分も好きな人がいるって言ってたじゃない?大好きだけど凡な自分とは釣り合わないと思う時があるって。サイモンのアドバイスのお陰でロニーに告白する勇気をもらえたの。本当よ。だから、えっと……私もあなたに勇気をあげられたら、と思って…………」

    プレゼントを渡すのに必死で、俺の存在を途中から失念したのだろう。ひとしきり喋り終えたハリエットは、そこでようやく俺の存在に思い出したようでごにょごにょと尻すぼみに口ごもっていく。
    目に見えておろおろと狼狽える彼女に何かフォローを入れるべきだったのだろうが、彼女の発言内容に衝撃を覚えていた俺はそれどころではなっかた。

    まさか、サイモンが少女相手に恋のお悩み相談をしていたなんて!?……では勿論なく(いやそれも少しは含まれているが)。

    「好きな人……?」

    そう呟きながらサイモンの方へ顔を向けると、彼は気まずげに視線を泳がせていた。その白い肌を熟れたトマトのように真っ赤に染めあげるというおまけつきで。

    だからサイモン!君、可愛過ぎるんだって!

    彼の言う"好きな人"とやらが、今こうして隣で話を聞いているのだから当然と云えば当然か。
    しかし釣り合わないとはどういう事だ。そんな事を思っているのは君だけだぞ。
    でも赤く染まった顔のままう、とか、あ、とか意味の無い言葉を漏らし始めた君がとても可愛いので、俺は引き続き黙って見守る事にした。

    「あ、ええと……他の人がいるところでこんな話をするなんて、私ってとても失礼だったわね。ごめんなさい、サイモン……。」

    ハリエットは俺の方をちらりと窺い見た後で、サイモンにそう詫びた。
    どうやら片思いの悩みを俺に知られてしまった事を彼は恥じていると勘違いしたらしい。

    「サイモンに好きな人がいる事、内緒にしてあげてね。」
    「勿論、内緒にするよ。絶対に。」

    ばつの悪そうな顔で俺に懇願したハリエットに真剣な面持ちで答えれば、彼女は安心したようにほっと息を吐いて愛らしく微笑む。
    彼女の心配事が一つ解決したところで、残りの問題に着手すべく俺はサイモンに通信を飛ばした。

    『花、受け取ってあげたら?"好きな人"に渡すんだろ?』
    『……お前……この状況を楽しんでいるだろ……』

    照れと若干の呆れを含んだ彼の言葉に、俺は笑いが漏れそうになるのをなんとか堪える。
    そうしている内に観念したとばかりに眉尻を下げ、ふうと軽くため息をついたサイモンは、ハリエットに向き直りその手の中の小さな花束を受け取った。

    「俺と俺の好きな人を思って作ってくれたんだね。ありがとう。俺も君の勇気を見習って、この花を相手に贈る事にするよ。」

    そう言ってはにかむサイモンにハリエットも嬉しそうに微笑んだ。

    「頑張って!応援してるわ!」

    それじゃあね、と手を振りながら去っていくハリエットを見送った後、残された俺達の間に暫し沈黙が流れる。

    「じゃあ俺は他にやる事があるから。」
    「えっ」

    何事もなかったように足早にこの場を去ろうとするサイモンに、俺は慌てて通信を送る。

    『それ、くれないの?』

    俺の言葉にぴたりと歩みを止めて振り返った彼の頰はまたもや真っ赤に染まっており。
    はくはくと何か言いたげに口を開閉させた後、まるで照れ隠しのように再びくるりと俺に背を向けてしまった。

    『周りの目があるだろう!後で渡す!!』

    後で渡してくれるんだ……。
    遠ざかっていく彼から送られた叫ぶような通信を聞きつつ、パートナーに対してこの上なく愛おしさが込み上げる。

    サイモン、君ってやっぱり可愛いよ!

    あの小さな花束を、彼はどんな顔で、どのように切り出し、どうやって俺に渡すのだろう。
    口元が弛むのを誤魔化す為に、俺は手に持ったままだったブルーブラッドのボトルの蓋を捻り、一口呷った。

    ────────────────

    サイモンちゃんが無駄に周りの目を気にしてるのは、アンドロイドの希望の光!rA9様が平々凡々な家事手伝いアンドロイドと付き合ってるせいで世間からとやかく言われるのが嫌だから、という彼なりの独りよがりな配慮…
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