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    kiduki39ra

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    kiduki39ra

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    オルトリブートアリスとリッターの話
    調べたら、初めての男に抱えられて三途の川渡る話の元ネタ、蜻蛉日記ですって。古典文学かよ。
    その辺の匂わせ。

     自分の足で歩くのは、本当に久しぶりだった。だから、石ころだらけで、何にもない河原でもなんだかとても楽しくて。向こうへ渡る橋も無視して、いつまでも歩き続けていた。
     そろそろ向こうに行こうかな。そう思った頃にはその橋は随分遠くになっていた。
     歩くのはまだ楽しいし、戻るために足を向けたところで、
    「俺のアリス!」
     その呼び名を、忘れたことはなかった。
    「私のリッター!」
    ああ、そんなふうに呼ぶのはいつ以来かしら。振り返れば、やっぱり私のリッターが、いつもの笑顔で立っている。
    「向こうへ行くのか?」
    「えぇ……っと」
    頷くや否や、いつかのように抱きあげられる。その熱は、失われる前と同じで、それが嬉しいけれど少し恥ずかしくて。
    「私、もう歩けるのよ」
    「俺は、君の騎士で足だから」
    そんな返事をされてしまって、断れなかった。
     ざぶざぶと私の騎士が河を渡っていく。そんなに広くなさそうだったのに、大分歩いてもまだ向こうに着かない。私のリッターが抱えてくれるので、服の裾すら濡れやしない。
     ──此岸で、誰かに呼ばれた気がした。
    「気にしなくて大丈夫だよ、俺のアリス」
    「……そうなの?」
    行かなくちゃ、行けない気がしたけど、私のリッターが抱えているから戻れない。
    「今度こそ、ずっと一緒だ」
    「……えぇ、そうね。私のリッター」
     今度こそ、一緒にいるんだから。
     
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