独白 希望湖が見える。それも当然で、ここは湖に浮かぶ場所だから、それは“嫌でも”視界に入ってくる。
ザンブレクではあまり湖は見かけなかったが、代わりに海があった。海は好きだ。嫌う理由がないと言えばそうだが、その色と音に、思い入れがある。
今となってはもう、思い出したくはないと、思っていたのだが。
「……」
この地はいつも音にあふれていた。その全てが人の声に満ちていて、無機質な音は、それこそ己の着る鎧や戦う者の、その音くらいか。
そして聞こえてくる人の声は、その殆どが温かいそれの様に思えた。
空の色は相変わらずで、その色は見た者の心を沈めてしまう。しかしこの地に生きる人間達は、それでも前を向いて生きている。
そう、かつての自分も、同じ気持ちを持っていた……のだと思う。
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