猫の日「にゃ~ん」
ソファに座っていたら後ろから長い腕が伸びてきて胸の前で交差する。顔が近づきひと声鳴かれたあと、耳元で囁かれた。
「今日、猫の日なんだって」
七海はカレンダーを見た。二月二十二日。なるほど。
「なるほど」
素っ気ないなぁ! 五条は言って、お前、猫、好きだろ?
「だから猫ちゃんプレイでもいかがかなぁ~と思ってぇ~」
七海は振り向いた。が、予想に反して五条はいつもの格好だった。
「あ。今、なんか期待したでしょ?」
「してませんが」
しかし、イベント好きの五条のことだ。そう言うからには何か小物でも身につけているのかと思ったのだ。そんな七海の視線に五条は少しきまり悪そうに唇を尖らせ、仕方ないだろと言った。
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