ディルガイ温泉旅行話 1「稲妻に出張?」
「そうだ」
「なんで俺に言うんだ」
「人手が欲しい」
ふと街で呼び止められたガイアは「今なら一杯奢ってもいい」というディルックの言葉に乗っかり、話を聞いていた。
「…………」
「君の言いたいことはわかる。しかし、いまはとにかく猫の手も借りたいほど忙しいんだ。もちろん、これは強制ではないし、君が嫌なら断ってもいい。だが、できれば…… 手伝ってくれるか?」
「どこに泊まるんだ」
「この辺りかな」
「……思ったより大分立派な旅館なんだが?」
「全部経費で落ちるからガイアさんは気にしなくていいよ」
「いや金の問題じゃなくて」
ビジネスホテルのような安くて寝るだけのところかと思えばまさかの立派な老舗の旅館。しかもチラッと前に止まるのが難しいほど人気の旅館だと聞いた。なんでも温泉がとてもいいと聞く。
2023