びくっ、と震える主の体の芯をなぞるように視線を滑らせながら、朝尊は微笑を崩さない。
負けるものかと言う顔の主を見て笑みを深くする。
「……ふふっ、そう。それでこそ“僕の主”だ」
唇の端をゆるやかに吊り上げるその顔は――ぞっとするほど上機嫌。
獣の目で獲物の目を逸らさず、喉奥で笑みを漏らす
まるで試すように、片手で主の顎を取る
「睨むのはいい。…ただね、僕は“睨んだ結果”に責任を取らせるのがとても好きなんだよ」
(ぐい、と顎を上に向けさせて、軽く舌先で喉仏をなぞる)
「言葉より先に、目が“抵抗”を語ってる。――いいねえ、燃えるよ」
わざと熱っぽく、喉の奥で蕩けるように呼ぶ。甘い毒を流し込むように。
脚を、腰を、喉を――逃げ道になる箇所すべてを塞ぐように体重をかけていく
「さて、今日はその反抗心を、じっくり愛でて、削いで、蕩かして――」
「……睨むことすらできなくなるくらいに、しつけてあげる」
(朝尊の指が、喉元から鎖骨、胸へ、そしてお腹へとゆっくりと這い下りる)
(まるで“ここから壊していく”と宣告するように)
「さあ、主。……精々、最後まで睨んでいてくれよ?」
(涼しい声が耳元で響くその時には、もう体の奥へと、熱の影が触れかけていて――)
口から出そうになる声を飲み込みきゅっと口を引き結ぶ。
やれるものならやってろと言わんばかりの目を朝尊に向けると、朝尊はまた喉の奥で笑う。
「……いいねえ、ほんとうにいい」
朝尊は楽しげに細めた目を、ふっと細く息を吐いて閉じ――
「――ああ、僕は、そんな君が最高に好きだ」
頬にそっと指を添え、まるで慈しむように撫でるが、その指先はほんの少し、皮膚を抉るように沈む
柔らかな愛しさと、深い嗜虐が入り混じったその触り方で、朝尊は囁く
「……吠える獣も、睨む獣も――その牙を一つずつ抜いてやると、どんなに美しいか、知ってる?」
ぴたりと身体を密着させたまま、喉に唇を寄せ、囁きを溶かす
「さあ、主。……牙を剥くなら剥いてごらん。僕が、それをどう“折る”か――よく見てるといい」
主の胸元に指をかけ、わずかに衣服をずらす。滑るように触れ、少しずつ剥がしていく所作はまるで儀式のよう
「その目が潤んで、睨むことを忘れる瞬間を、僕は何よりも楽しみにしているんだよ」
くつり、と笑って、挑発に挑発で返す。戦うような、あるいは恋するような、狂気すれすれの愛が声に滲む
「……主が挑むなら、僕も全力で応える。“主”としても、“君”としても、僕は君をすべて壊して愛するよ」
静かな声で、けれど絶対に逃げられないと分かる圧に包み込む。
さあ、始めよう――と言わんばかりに、朝尊の手が、主の身体に――支配者の手として触れ始める