浴衣バーンATF主催の復興イベントとして、夏祭りをすることになった。
俺はそのままパイロットスーツかいつもの隊服を着て参加するつもりだったのだが、ブレイバーンに『イサミ、その時に、その場所に合った服に身を包むべきだ』などと当たり前の常識を言われ
もちろん、俺は着物なんて着たことなどないのでブレイバーンの大きな手で器用に着付けられていた。
灰色の生地に黒の線が鉄線柄を描いた浴衣。
唯一派手なのはブレイバーンを思わせる赤色の帯くらいだろう。
ブレイバーンに持たされた浴衣生地と同じく灰色の信玄袋に描かれた黒の刺繍でほどこされたブレイバーンの模様がさりげなくあるのも意外なところかもしれない。
あいつのことだからもっと赤や白やら青の派手な浴衣を用意するかと思いきや出されのは全体的に落ち着いた雰囲気のものだったので、少し物足りなく感じてしまうのは、相当あいつに染められてしまっているなと、顔が熱くなる。
『良く似合ってるぞ、イサミ』
ニッと口元だけを上げ笑みを浮かべるブレイバーン。
こいつがこういう表情をする時には、
"あ、何かこれ意味があるんだなこれ"と察するが
聞いてしまえば長くなりそうなので次回の話にしよう。と決め、俺と揃いの衣裳に身を包んだ今は2mサイズまでに伸縮しているブレイバーンに手を引かれ、すでに賑わいっている櫓を中心とした出店に向かう。
『イサミ!共に踊ろう!』
すでにプログラムは予定通りに進んでいるらしく、聞き馴染みのある曲に合わせて踊っている輪にブレイバーンと共に入る。
「お、そこのお二人も踊るのかい?
なら、これをプレゼントだ」
少しでも子供の参加者を増やす為であろう曲げたら光る輪をプレゼントされ
「いや、俺達はいらない」と言う前に次々と現れる参加者に同じ輪をプレゼントして回るおじさんに感謝をしつつ、俺に輪を付けて欲しそうな顔のブレイバーンの手首に緑色に光らせた輪を付け、ブレイバーンが俺に赤色に光らせた輪を付ける
"次は、ブレイバーン音頭です"
お前、いつの間にそんな曲を作っていたんだとブレイバーンの目を見るが、すぐに曲が始まってしまう。
不思議なことだが、知らない曲でも踊れてしまう。
櫓を囲む輪は一体となる。
そんな楽しい曲は3分程度で終わってしまう。
"次はATFによる手筒花火です"
『イサミ、これを持っていてくれ』
「聞いてないぞブレイバーン!?!?」と言う前にブレイバーンが脱ぎ捨てた揃いの着物を持たされるとブレイバーンが向かった方向、はるか遠くに見たことのあるメンバーが並び、1mはある竹筒を両手で抱えて一斉に10mの火柱が吹き上がる光景は、美しくもあり圧巻された。
『イサミ!!!』
9mに戻ったブレイバーンが竹筒を両手で持って、そのまま"大好きだ!!!"と言わんばかりに20mの火柱を吹き上げる。
「……俺も大好きだ、ブレイバーン」
俺の呟きのような愛の言葉を一言一句聞き逃さないブレイバーンは当たり前のように拾うと、応えるように夜空に大輪の花火がバーンと打ち上がった。