冬至の候、ご多忙のことと存じます 爆弾低気圧とやらで大荒れとなったとある冬の日。午前中は二学期の終業式に形だけ参加し、昼からは学長から押し付けられた面倒な用事で都心へ出向いた。吹きすさぶ風に乗って、ちらほらと白いものが混じり始めたと思ったのも束の間、あれよあれよという間にその欠片は大きくなり、道に溜まる体積を増し、用事が済んだ頃にはすっかりアスファルトの姿が見えなくなっていた。突然の大雪と強風で電車のダイヤは大いに乱れ、足止め状態。タクシー乗り場は長蛇の列。途方に暮れているところに掛かってきた学長からの電話は、助け船などではなく、追加のお遣いで。
「足止め喰らってんならちょうどいいじゃん。どうせ、帰ってこれないんでしょ?」
絶対今度殴ろう。あっけらかんと言い放つ男の言葉を思い出してはポケットの中で拳を握りしめた。
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