こぽり
こぽり
こぽり
口からは空気が漏れて海面に上がっていく
両手も両足も、ばかばかしいぐらいに重いというのだけが分かる意識が見せる走馬灯
走馬灯は一種の生き延びるすべを脳が検索する機能らしいが
むしろトドメをさそうと走馬灯を見せているんじゃないかと思う程度には
私の人生の軽さをまざまざと突き付けてくる
兎角弱く産まれた私であったので、祖父の持つ城で親族に囲まれて何不自由なく必要なものだけではなく、消費しきれないほどの娯楽ですらも与えられるままに暮らしてきた。
沢山の料理器具に食材、各分野の書物や裁縫道具一式、近頃は各種ゲーム機に必要な世間でも評判がいいゲームソフトまでセットにしたものまで諸々と
そうして持参した父は心配そうに眉を下げて言うのだ『城に一人で退屈ではないかい?』と。
1927