rainy mornig 雨の匂いがする。
しとしとと静かな音が穏やかな調べのように響く夜を超えて、朝露に草木が濡れる早朝。
浮上したおぼろげな意識を委ねるように耳を澄ませていれば、うぅん、と物憂げな声と供に、腕に絡みつく体温がもぞもぞと身じろぎした。
安心しきった顔で穏やかな眠りに落ちている彼女にふと頬を緩ませながら、サイドテーブルの腕時計に手を伸ばす。針が指し示す時間は五時半。
今日の予定は午後からのポアロのみで、起きるには早い。
昨夜の帰宅は午前一時を過ぎていた。
志保は既に彼女の部屋で休んでいたため降谷も大人しく自室で眠ったのだが、彼の帰宅に気が付いたのか、一時間ほども経った頃に音も無くベッドに潜り込んできたのは志保の方だ。
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