灰もかぶらない むかしむかし、ある所に、それはそれは大層綺麗な見目をしている夜叉がおりました。夜叉は元々魔神の元で扱き使われておりましたが、戦で主を失ってしまいました。
帰る所を失った夜叉は、主であった魔神を打ち負かしたモラクスに拾われ、他の夜叉の仲間達と暮らすことになりました。しかし、夜叉は他人を信じることができません。名も告げなかった為、他の夜叉からは金鵬と呼ばれていました。
金鵬は、よく働く夜叉でした。床を掃除して欲しいと言われれば箒が折れる程一日中床を磨いておりました。働かずともゆっくり過ごしてくれれば良いと他の夜叉からは伝えられ専用の部屋も用意されておりましたが、いつも隅っこに座り込み、目を瞑っておりました。
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