バーニスの作るドリンクは最高だ。一度でも彼女の飲み物を口にしたことがある奴なら、口を揃えてそう言うだろう。加えて彼女は街の子供までもが噂するほどに美人で愛想がいい。だから彼女のドリンクを目当てにこのバーを訪れる客もいれば、バーニス自身が目当ての客もいる。
少なくとも、今日の客が後者であることは火を見るよりも明らかだった。チンピラと呼ぶに相応しい粗雑な態度の客。狭い座席に巨体を押し込み、大きく股を開いてカウンターに身を乗り出す。男は唾を飛ばしながら大声で笑い、無駄に盛った作り話で女の気を引こうとしていた。
「もう一杯頼むぜ、どぎついのな」
「はいはーい! 任せて!」
バーニスはスキップでもし出しそうな程軽い調子で身を翻し、新しいジョッキにニトロフューエルを注いでいく。
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