帰る場所「うん、そう、予定より早く終わりそうだから……うん、うん、だからそのまま君の部屋に直行するよ。うん、けどこっちから最低でも6システム時間は掛かると思うし何時になるかはわからないから先に休んでていいよ。君だって講義や研究で疲れてるだろ?僕は大丈夫だから……あ、ごめん、そろそろ行かなきゃ。じゃあまた」
「…………」
レイシオは玄関先に転がっている翠色の塊、もとい、自分の恋人であるアベンチュリンを発見してはぁ、と大きく溜め息を吐く。
仕事帰りの恋人がこんな風にして玄関で行き倒れているのを見つけるのはこれが初めてではない。だからといって慣れていいものでもない。
昨日の昼過ぎに掛かってきた通信で遅くとも今朝にはこちらに到着しているという話だったが、目を覚ましてもベッドに横たわる自分の隣は空っぽのまんまで、何か予期せぬトラブルでも発生したのかと連絡をしようと起きればこの有様である。
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